走るガジェット「Tesla」に乗ってます
4年半乗ったテスラ「モデル3」を総括――気になるバッテリー劣化率、クルマには満足も唯一の不満点とは(2/2 ページ)
このままではユーザー体験が危険水域に達する
最近、Teslaの販売が急増したためサービス体制がキャパシティーオーバーになり、Tesla Japan直営のサービス拠点では、一部のユーザーに点検や車検を受けられない事例、あるいは、納車が予定よりも遅れる事態も発生しているようです。サービスについてはTesla Japanは外部の認定工場を紹介しているようですが、販売増ゆえのサービス地獄に陥っているのでしょう。
製品自体が満足し得る出来映えであっても、クルマはその後のサービス環境が悪ければ、ユーザー体験の低下による客離れが容易に起きるものです。前述のシトロエンの事例を思い返すと、たくさんのトラブルに見舞われても、ディーラーやサービス担当者の対応に満足していたからこそ、20年以上も乗り続けることができました。
当時、シトロエンは、「ユーノス」というマツダ系列のディーラーで購入したのですが、そこのチーフメカニックは、西武自動車販売時代からのシトロエン職人みたいな人で、問題点があれば「修理」をしてくれました。ハイドロニューマチックのような独自機能へのきめ細かい対応は言うに及ばず、例えば、ラジオの受信感度が悪いと訴えたら、ルーフの外板と内張の間に銅線を加工した独自のアンテナを設置してくれました。
また、電装系の配線やパーツが経年劣化を起こしライト類の調子が悪くなったときは、国産のより高性能な電装系(確かRX-7のものと言っていた)にリプレイスしてくれたりました。現在の電子化が進むクルマ、ましてや「走るガジェット」たるTeslaに同じサービスを求めるつもりは毛頭ありませんが、このような充実したサービス体制が整っていれば、幾度のトラブルを経験してもユーザー体験が大きく下がることはありません。
Tesla Japanにも国産車のディーラー制度を取り入れろとは言いませんが、人員やサービス拠点を増やしアフターフォローの体制を整え、日本でビジネスを展開する以上、日本人が満足する体制を敷いてもらいたいものです。
満足度は、下がるどころか上がっている
4年半、約4万kmを乗った今、所有するModel 3の満足度は、下がるどころか上がっています。OTAアップデートによる機能追加が大きな要因です。前回の本連載でお伝えしたように体調を崩し、入院や自宅療養等で長くModel 3に乗れない日々が続きました。体調が戻り久しぶりにModel 3を運転したときの感動は他に得がたいものでした。5年前にTeslaを選んで心底良かったと思ったものです。
そのModel 3も23年に新型(通称「ハイランド」)が登場し進化を遂げました。ガジェット的な視点だと筆者の21年製Model 3は「陳腐化が進んだ」と言えます。実際、新型のスクリーン表示や操作感、内装の充実ぶりを見ると正直「うらやましい」という気持ちになります。ただそれは、Teslaに限ったことではないでしょう。内燃機関も含めSDV化が進む現在のクルマは、モデルチェンジをしたら前モデルが一気に色あせて見える程に大きな進化を遂げるようになります。
例えば、グローバルでModel Yと人気を争うTOYOTAの新型「RAV4」の進化には驚かされました。「Arene(アリーン)」OSの搭載とそれを生かすための大型スクリーンやSDVとしての必須条件たるソフトウェアアップデートへの対応などです(Tesla並の更新が可能かどうかは別にして...)。このRAV4の事例からもTeslaに限らず、どのような車種でも前モデルが陳腐化して見えるSDV化の流れは今後も拡大していくものと思われます。
現在のModel 3をいつまで乗るのか? 次もTeslaにするのか、と問われると今ここで明快な答えを出すことはできませんが、これからも、普段遣い、旅行、仕事にと、Model 3のある生活を大いに満喫したいという気持ちに偽りはありません。
著者プロフィール
山崎潤一郎
音楽制作業の傍らライターとしても活動。クラシックジャンルを中心に、多数のアルバム制作に携わる。Pure Sound Dogレコード主宰。ライターとしては、講談社、KADOKAWA、ソフトバンククリエイティブなどから多数の著書を上梓している。また、鍵盤楽器アプリ「Super Manetron」「Pocket Organ C3B3」「Alina String Ensemble」などの開発者。音楽趣味はプログレ。Twitter ID: @yamasakiTesla
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走るガジェット「Tesla」に乗ってます
「iPhoneにタイヤをつけたようなクルマ」と表現されるTesla。IT・ビジネス分野のライターである山崎潤一郎が、主にデジタルガジェットとして、そしてときには、ファミリーカーとしての視点で、この未来からやってきたクルマを連載形式でリポートします。
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