SusHi Tech TOKYO 2026
「まるで一反もめん」と話題の“人型重機” JRも活用する技術を市販ロボに 国産スタートアップ人機一体
「一反木綿みたい」と話題になった人型重機の技術を、既成のロボットにも──高所作業用ロボットなどを手掛けるスタートアップの人機一体が、鉄道設備メンテナンスで稼働している人型重機の基幹技術を、市販の産業用ロボット(協働ロボット)でも応用可能にする試みを進めている。鉄道現場で実証済みの「人が直感的に重作業ロボットを操る」技術を、製造業など他分野の現場へ広げる狙いだ。
東京ビッグサイトで開催されたスタートアップ展示会「SusHi Tech TOKYO 2026」(4月27~29日)では、人機一体の技術を既製品に搭載した協働ロボット「人機バイラテラルアーム」の双腕タイプを初公開した。
鉄道で稼働中の人型重機、基幹技術を市販ロボに
人機一体の技術が製品化されたのは、JR西日本、日本信号と共同開発した「零式人機 ver.2.0」が最初だ。これをベースに日本信号が製造した「多機能鉄道重機」が、2024年7月からJR西日本営業線の鉄道設備メンテナンスで稼働している。架線を支える構造物の塗装や樹木の伐採、数十kg~100kg超の重量物搬送といった高所作業を、人が安全な場所のコックピットから遠隔操縦してこなす。
SNSでは、高所作業車のアーム(ブーム)の先端に上半身が載った画像が出回り「一反木綿みたい」とも話題になった。
今回発表した双腕タイプの人機バイラテラルアームは、零式人機 ver.2.0などが鉄道で実証済みの基幹技術を、既製品に搭載したもの。SusHi Tech TOKYO 2026ではベース機体として可搬重量15kg、最大リーチ900mm、6自由度を持つ韓国Doosan Robotics製ロボットを採用し、2台を展示していた。
協働ロボットに搭載しているのは、人機一体独自の力制御技術と、パワーを増幅しつつアームを遠隔操作できるようにする「パワー増幅バイラテラル制御」技術だ。これにより、操作機(操縦桿)に加えた力に応じて作業機側のロボットが動き、作業機が物にぶつかれば操作機側にも力が返ってくる──といった挙動を実現しているという。
人が操作するため事前のティーチング(動作の教示作業)は不要で、数十分の訓練のみで、数十kgの重量物を軽い力で扱えるという。狭小スペースの製造現場、多品種少量生産のライン、高温環境やクリーンルーム内での作業などを想定する。
これまでは現場ごとに専用機をPoC(概念実証)開発する必要があり、多額の研究開発費がかかっていた。しかし既製品の協働ロボットに独自技術を適用することで、サービス提供費用のみで現場の実用可能性を検証できるようになるという。
会場で体験してきた
会場では、今回発表された人機バイラテラルアームを体験できた。説明員が作業機側のアームを手で押すと、その力が操作機側にも伝わってくる。操作機を動かせば、力センサーで検知した方向に作業機が動き、その移動量が今度は操作機側にも返ってくる。まるでその場でアームを動かしている感覚で遠隔操作できる。
実際に体験した作業は積み木を掴んで容器に入れるだけの簡単なものだったが、掴んでいる物の重さや、何かに引っかかった時の抵抗が操作機越しに手元に伝わってきた。
遠隔操作する人型重機、存在意義は
人機一体の金岡博士(代表取締役社長)は、一般的なアバターロボットやヒューマノイドとの違いについて「操作するロボットと操作されるロボットの構造もスケールも違うのに、人が思い通りに動かせる」と説明する。
そもそも人機一体の原点は東日本大震災での原発事故対応だったと金岡社長。「人が行かなくて済むロボットが本来あるべきだった」と振り返る。技術があっても、プロダクトとして社会実装されなければ意味がない。その問題意識から、立命館大学発のスタートアップとして同社を立ち上げた経緯があるという。鉄道での実用化を皮切りに、土木、製造業の現場へと、人機一体の技術を展開していく構えだ。
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