考えるだけでPC操作・脳内発話も 中国がAI脳インプラント開発加速、一般販売も間近か Nature報道
Nature誌が5月19日(現地時間)に掲載した記事によると、中国のスタートアップ企業が、AIを活用したブレイン・コンピュータ・インタフェース(BCI)の開発と実用化を急ピッチで進めているという。現在、中国では臨床試験が進んでおり、AIを搭載した脳デバイスが間もなく一般向けに販売される見込みという。
BCIは脳とコンピュータをセンサーでつなぐ技術で、これまでも体が麻痺した人や神経変性疾患の患者を支援するために使われてきた。近年、中国や米国の企業がこの技術に大規模言語モデルを組み合わせることで、従来の技術よりも高い精度で脳活動を読み取れるようになっている。
上海に拠点を置くNeuroXessは、AI搭載の脳インプラントを用いて麻痺患者を支援する臨床試験を行っている企業の一つ。このインプラントは頭蓋骨の上に配置され、脳の表面(大脳皮質)に取り付けられたセンサーから、胸部に埋め込まれたバッテリー兼データ送信機へと有線でつながる仕組みだ。
2025年10月に行われた試験では、脊髄損傷を負った28歳の男性が、頭で考えるだけでPCのカーソルを動かし、アプリ経由で家電の電源をオン・オフすることに成功した。
さらに同社は、中国語を毎分300文字という、人(中国語母語話者)が普通に話す平均速度(毎分約220文字)よりも速くリアルタイムで解読するAIも開発している。実際にてんかんを患う35歳の女性から、単語やフレーズを生成することに成功したという。
こうした進展の背景には、「2020年代の終わりまでにBCI分野で世界的リーダーになる」という中国政府の強力な後押しがあるという。政府は27年までに技術的なブレークスルーを達成し、2020年代末までに世界クラスの企業を2、3社生み出すことを目指しており、26年3月には世界初となる商用の脳インプラントを承認した。
AIと組み合わせた技術であるため、プライバシーやデータ保護への懸念もあるが、政府は24年に倫理ガイドラインを発表し、試験参加者からまたはその保護者からの書面による同意取得や倫理審査を義務付けている。
著者紹介:山下(Seamless)
研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す。ITmedia NEWSでも、世界中の幅広い分野から最先端の研究論文を独自視点で厳選、解説する「Innovative Tech」を連載中。
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