性的表現に誤タップ誘導――ネットの“不快な広告”への苦情が1年で2倍に 件数も過去最多
日本広告審査機構(JARO)は7月23日、2025年度に受け付けた広告への苦情が、24年度の約1.5倍となる1万2589件だったと発表した。設立以来最多で、コロナ禍の20年度(1万1560件)を上回った。媒体別では、インターネット広告への苦情が24年度の約1.7倍となる7664件に急増し、初めて全体の6割を占めた。称賛や照会などを含む総受付件数は1万4723件だった。
全体を押し上げたのは、不快、気持ち悪い、怖い、性的といった広告の表現に関する苦情で、総数は24年度の約1.8倍となる6749件に上った。性的な広告への苦情は1937件で、うち1656件(85.5%)をインターネット広告が占めた。
25年度は、レシピサイトなどに掲載された性的な広告を報道機関が取り上げたことで、「広告への苦情はJAROに伝えればよい」という認識が広がったことも、増加の一因とみている。
性的表現以外の不快な広告も増えた。特に苦情が多かったのが、医薬部外品などをECで扱う事業者で、737件が寄せられた。腸や膀胱、耳内部のイラストが気持ち悪い、GIFアニメがうっとうしいといった内容だった。
広告の掲載手法への苦情も、24年度の約1.6倍となる1027件に増えた。このうちネット広告への苦情は、24年度の405件から809件へ倍増した。「気持ち悪い広告がページ内の何カ所にも出る」「画像が動いたり、色がチカチカしたりして目に負担がかかる」といった不満のほか、閉じるボタンがない、見つけにくい、極端に小さいといった苦情もみられた。
閉じるボタンの偽装や、誤タップを誘う配置も見られ、「×を押しているのにリンク先に飛ばされる」「広告が動いて誤タップする」などの声があった。また、「メッセージが届いてます」「続きへ」などと表示し、記事本文と誤認させるダークパターンや、広告が画面を覆ってコンテンツを閲覧できなくなったり、元の画面に戻れなくなったりする例もあった。
苦情先の業種別では「電子書籍・ビデオ・音楽配信」が24年度の約2.9倍となる1171件で最多。このうち909件が性的な表現への苦情だった。2位は医薬部外品で、同じく約2.9倍の1076件。3位はオンラインゲームの718件で、このうち77%が、人が殺される場面がグロテスク、気持ち悪い、怖い、性的といった広告表現に関するものだった。
申立者は10代から70代以上まで全ての年代で増加し、特に30代は24年度の約2.1倍、20代は約1.7倍に伸びた。例年は男性が6割以上を占めていたが、25年度は男性54.4%、女性45.3%となり、男女差が縮小。性的な広告への苦情1937件のうち、女性からの申し立ては1470件(75.9%)を占めた。
JAROは今回の結果を受け、広告全体への忌避感や不信感が広がる可能性を懸念している。
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