「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】(2/3 ページ)
急きょDDR5量産、だが……
さて、問題はここからだ。CXMTは24年末にDDR5の生産を開始した。実はLPDDR5に関しては23年11月にローンチの発表がなされていたが、これは第2世代の18.5nmプロセスを利用している。24年からはこの18.5nmプロセスが広く利用され、月産10万枚のうちの大半がこの18.5nmに移行した模様だ。
続いてCXMTは第3世代である17.5nmプロセスを開発、これを利用してDDR5の生産も始まった模様だ(合わせてLPDDR5も18.5nmから17.5nmに移行したらしい)。そして2025年11月にはDDR5-8000までの製品に加え、データ転送速度10667MbpsのLPDDR5xまで発表している。一連の製品は同社の第4世代である16nmプロセス(一部15nmと表記される場合もある)が使われた。
なお、この第4世代は、韓国Samsung、同SK Hynix、米Micronで言う所の1znmプロセスに相当する。電子部品系コンサルティング企業のカナダTech Insightによる分析が既に発表されており、ほぼ1znm世代相当であることが確認されている。Samsungがすでに1cnm、SK Hynixは1bnm、Micronは1γnm世代の量産に入っているため、Samsung・Micronと比べると3世代、SK Hynixでも2世代遅れている形だ。
編集注:
1znm、1bnm、1cnm、1γnmはそれぞれ半導体製造プロセスの世代名。1znm→1anm/1αnm→1bnm/1βnm→1cnm/1γnmの順で微細化が進んでおり、性能が向上している
この間にもいろいろあった。25年6月の記事で紹介したが、25年5月にCXMTがDDR4の生産を打ち切り、DDR5に移行する予定であることを報じた。これは中国政府の意向を強く反映したもの。要するに米中貿易戦争が激化する中で、サーバなどに利用されるDDR5が米韓のDRAMベンダーから入手困難になる事を想定して、国内で手当てできる様に……というワケだ。
結果としてDRAMマーケット全体でDDR4がDDR5よりも高くなる、という事態が25年6月に発生した。その後、AIデータセンター向けにDDR5需要が爆発。価格も高騰したことにより、25年末に再び逆転して正常(?)に戻ったが、DDR4の価格が下がった訳ではない。
もっともこのDDR4需要急騰を受け、トップ3社はDDR4の供給継続を表明したが、今度はDDR5の絶望的な供給不足のあおりを受けてPC向けなどにもDDR4需要が爆発。直近ではDDR4の価格も再び急騰してして、またもやDDR5の値段を上回るという混乱状態に陥っている。
下記の画像は25年10月と26年7月のSpot(即時取引)価格をまとめたものだが、DDR4-3200 16Gbitが20.870ドルから80.125ドルと4倍近くになっているのが分かる。もっともDDR5-4800/5600 16Gbitなど、8.129ドル→49.333ドルと5倍を超えているから、これよりはマシなのかもしれないが。
話を戻すとそんな訳でCXMTは急きょ、全力でDDR5の量産を行う事になった訳だが、25年の記事の最後でも触れたように、この第4世代DRAMの仕上がりは、少なくとも当初はあまり芳しくなかったし、Yield(収率)もあまり良くなかった。
この後CXMTはこの品質とYield改善に向けて全力を注いでおり、26年6月開催のICT見本市「COMPUTEX」ではCMXT製のDDR5メモリを搭載したDIMMモジュールが各社から発表されたほか、いくつかのマザーボードベンダーがCXMTメモリへの対応を行った事がレポートされている。
サンプル品はともかく量産品での性能に関してはまだ改善の余地があるとも伝えられてはいるが、取りあえずDDR5の量産に入った事そのものは間違いなさそうだ。LPDDR5Xも恐らく同じような状況にあると思われる。
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