Anthropic「一律禁止は提唱していない」 オープンウェイト支持書簡への不参加を説明
米Anthropicのダリオ・アモデイCEOは7月27日(現地時間)、オープンウェイトのAIモデルに関する同社の立場を表明した。MicrosoftやNVIDIA、OpenAIなどの米国企業が署名したオープンウェイト支持書簡には参加しなかったものの、「Anthropicはオープンウェイトモデルの禁止を提唱したことは一度もない」と説明した。
オープンウェイトモデルは、利用者がダウンロードして検証・改変したり、自前のインフラで実行したりできるAIモデルを指す。Microsoftなど30社は24日、中国製AIモデルの急速な性能向上を背景に規制強化の動きが出ていることを受け、オープンウェイトモデルへの性急な規制を避けるよう米国の政策立案者に求める書簡を公開した。MetaやGoogleなど多数の米国企業・団体が署名した一方、Anthropicの名は見られなかった。
アモデイ氏によると、一部では「Anthropicが自社事業を競争から守るためにオープンウェイトモデルの禁止を望んでいる」との批判が出ていたという。同氏はこれを否定し、「危険な能力を持たないオープンウェイトモデルは公共財。企業や開発者、研究者に有益だ」と明示した。
一方、同氏は「書簡の多くの部分に同意している」としたうえで、「オープンウェイトモデルによって安全対策を開発しやすくなり、攻撃側よりも防御側が有利になる、という主張には同意できない。むしろ逆の結果になる可能性も同程度にある」との見方を示した。
例えば生物学の分野では、強力なモデルを使うことで、誰でも入手できる材料からパンデミック級のウイルスを短期間で兵器化できる可能性がある一方、防御策の構築には数年を要する恐れがあるという。「こうした問題は、最初から結論を前提にするのではなく、厳格に検証して答えを出すべき」と訴えた。
また、アモデイ氏は「保護主義的な禁止措置では、深刻な国家安全保障上の問題に対処できない」と指摘し、特に重視する2つのリスクを挙げた。1つは、権威主義国家が米国を上回るAIを開発し、軍事的優位の確立や国民の弾圧に利用することだ。中でも、中国共産党を最も能力の高い脅威と位置付けた。
もう1つは、強力なAIがサイバー攻撃や生物兵器開発に悪用されたり、深刻な倫理上の問題を抱えるリスクだ。オープンウェイトモデルは、公開後の利用を監視しにくく、安全対策の追加や撤回も難しいため、クローズドモデルより危険性が高まる可能性があるとした。
ただし、米国企業によるオープンウェイトモデルの利用を禁じても、悪意ある利用者の行動を阻止することにはつながらないと指摘。こうした禁止措置は、米AI企業を競争から守るだけで、Anthropicの目的ではないとしている。
同氏は2つの懸念への対策として、高性能半導体を中国へ販売しないこと、他社AIの出力を不正に学習へ利用する「産業規模の蒸留」を規制すること、高性能AIへの安全性試験の義務付けを提案した。安全性試験は、開発国や公開方式を問わず行い、サイバー攻撃や生物学的リスク、倫理上の問題を事前に確認すべきとしている。一方、スタートアップ、学術機関が開発するような能力の低いモデルは対象外とする考えだ。
アモデイ氏は、トランプ政権がここ数カ月、高性能AIの安全性試験を重視する方向に動いていると評価。「オープンモデルのリスクが実際にどの程度高く、そのリスクを軽減できるかどうかは、安全性試験を通じて検証すべき」との考えを示した。
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