「仏にドラゴンボールのテーマパーク」報道に東映アニメ「許諾していない」……どこで話がねじくれた? 話題が錯綜した経緯
フランスに「ドラゴンボール」のテーマパークができる――国内外で報じられた計画を巡り、東映アニメーションは8月31日、「一切のライセンス許諾を行っていない」との声明を発表した。日本では、当初の報道が「なぜ日本で立ち上げられなかった」といった議論の種になっていただけに、同社の声明について「許可なしで話が進んでいたのか」と驚きと共に受け止められている。
しかし、話題の発端となった報道や発表を追っていくと、実は当初の情報にはドラゴンボールのワードは含まれていないことが分かった。一体どこで話がねじ曲がっていったのか。さらに追いかけていくと、報道や公職者によるSNS発信の中で情報が錯綜していった可能性が浮上した。
そもそもの発端は、7月末から8月初旬にかけて、仏紙Le Parisienや米政治メディアPoliticoの欧州版が、仏大統領府とサウジアラビアの投資会社Qiddiya Investment Company(QIC)の間で、テーマパーク構想が進んでいると相次いで報じたことだ。候補地は、パリ北西部のセルジー・ポントワーズ都市圏としていた。
8月24日にはフランス政府とQICが、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子の訪仏に合わせ、フランスで複合型エンターテインメント施設の開発を検討する覚書を締結した。仏大統領府によると、開発全体の投資額は約60億ユーロを見込むという。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領も同日、Xで「前例のない発表」と紹介。「私がマンガに関心を持っていることはご存じでしょう」と切り出したうえで、セルジー・ポントワーズに3つのテーマパークを整備し、約2万2000人の雇用を創出する計画だと説明した。「ディズニーランド・パリ以来、例のないこと」と規模を強調した一方、投稿や仏政府の公表内に「ドラゴンボール」の名称はなかった。
一方でロイター通信は25日、仏大統領府の説明として、計画が「ドラゴンボールZ」の世界観に着想を得たものだと報道。マクロン大統領の側近から得た情報として、マクロン大統領とムハンマド皇太子がともに同作のファンだと分かったことをきっかけに、構想が生まれたとも報じていた。
さらに仏イル・ド・フランス地域圏議会議長のヴァレリー・ペクレス氏も翌日にTikTokで動画を投稿。「ドラゴンボールがイル・ド・フランスにやって来ます」「孫悟空がパリのすぐそばに自分のパークを持つのです」と述べた。これにより計画が正式決定したとの受け止めが広がり、日本を含む各国のメディアが相次いで報じた様子だ。
ところが仏紙Le Mondeは25日、計画を進めるQICが日本の権利元から「ドラゴンボール」の使用許諾を得ていないと報道。大統領府やQICの正式発表にも作品名は明記されていなかったと指摘した。
東映アニメーションも31日、「当社ならびに権利元関係各社は、当該案件に関して一切のライセンス許諾を行っておらず、当社が把握している事実はない」と発表。報道で使われたコンセプト画像や映像についても、2024年3月22日に同社とQiddiyaが共同発表した、サウジアラビア・キディヤシティのテーマパークの素材であり、フランスの計画とは一切関係ないと説明した。
同社が示したサウジアラビアの計画は、50万㎡を超える敷地に7つのエリアと30以上のアトラクションを整備する。高さ約70mの「神龍」の内部をくぐれる大型ジェットコースターの構想なども発表している。
日本では、当初の「フランスにドラゴンボールのテーマパークができる」との報道が8月25日ごろからXで話題に。「なぜ日本で立ち上げられなかったのか」などと議論にもつながったが、9月3日ごろから東映アニメーションの発表が拡散し、困惑の声が広がっている。
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