トランプ政権のサックス氏、AI「ペース調整」論に苦言 「規制がなければできないふりをやめろ」
「他者の許可が必要なふりはやめろ」──米大統領科学技術諮問委員会(PCAST)共同議長のデビッド・サックス氏は9月12日(現地時間)、Xへの投稿で、米Anthropicのダリオ・アモデイCEOが同日公開したエッセイ「We Must Pace the Frontier」と、これに同調したOpenAIのサム・アルトマンCEOの投稿に反応し、ペース調整をするのは構わないが、そのために規制の枠組みが必要であるかのように語り、それを条件として求めるべきではないと主張した。
サックス氏は「go ahead(やればいい)」と述べ、両社こそがフロンティアそのものだと指摘した。市場シェア、収益の伸び、モデルの能力のいずれで見ても2社はフロンティアAIを寡占しており、再帰的自己改善によってリードは広がっていると2社自身が主張しているとした。2社に何が見えているかは自分には分からないとした上で、未公開のモデルが減速を考えるほど恐ろしいのであれば、責任ある判断として支持するとしている。
その上で、やめるべきこととして5点を挙げた。他者の許可が必要であるかのように振る舞うこと、カルテルを組むために反トラスト法の適用停止が必要だとすること、製造物責任に優越する規制上の承認プロセスが必要だとすること、Anthropicの投資家やスタッフと関係するメンバーもいるMETRを独立した存在であるかのように扱うこと、フロンティアでさえない競合を同じ評価者に取り締まらせる必要があると主張することの5点だ。
「動機は純粋に利他的ではない」
減速の動機が純粋に利他的であるかのように装うのもやめるべきだとし、自社製品が深刻なサイバー攻撃に使われれば巨額の製造物責任を負うことになると指摘した。市場は予測不能な挙動や許可されていない挙動をするモデルを既に罰しており、Hugging Faceの件の後であれば、能力の一部を信頼性と予測可能性と引き換えにするのは両社にとって単に商売上の得策だと述べた。アライメントと呼びたければそう呼べばいいが、それは顧客が求めるものを与えているだけでもあるとしている。
一方で、ペース調整には規制を巡る議論の余地を広げる効果もあるとし、バーニー・サンダース上院議員の「全部止めろ」という主張よりも知的な議論ができるようになるとした。中国が世界的な合意に加わる可能性は極めて低く、それも考慮に入れる必要があるとも述べている。
その上で、フロンティアを設定しているのは2社自身であり、超知能を作らない最も簡単な方法は2社が作らないと合意することだと指摘。それを条件に望ましい規制の枠組みを要求すれば、国民と政治システムに対する脅迫に見えると述べ、まず実行せよと求めた。実行すれば次の議論に向けた信用を得られるが、そうでなければ、これは規制の囲い込みか、選挙シーズンの世論工作にすぎなかったと分かるだけだと結んでいる。
デビッド・サックス氏とは
サックス氏は南アフリカ出身で、PayPalの初代COOを務めた、いわゆる「ペイパルマフィア」の1人。その後、社内SNSのYammerを創業してMicrosoftに売却し、2017年にベンチャーキャピタルのCraft Venturesを共同創業した。テック業界で人気のポッドキャスト「All-In」の共同ホストとしても知られる。
2025年1月のトランプ政権発足時にホワイトハウスのAIおよび暗号資産担当特別顧問に就任したが、特別政府職員に認められた勤務日数上限に達したとして2026年3月に退任した。現在はホワイトハウス科学技術政策局(OSTP)でPCAST共同議長を務める。同委員会にはNVIDIAのジェンスン・フアンCEO、Metaのマーク・ザッカーバーグCEO、AMDのリサ・スーCEOらが名を連ねる。米国は11月に中間選挙を控えている。
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