「チケット当選」装う詐欺メールが急増中──イープラスやローチケ、ぴあかたる手口 フィッシングの専門家に対策を聞いた(1/2 ページ)

 「【イープラス】チケット抽選結果のご案内[ご当選]」──こんなメッセージが届けば、つい開いてしまうかもしれない。しかしこれ、実は詐欺かもしれない。チケット販売サイト「イープラス」を装い、抽選に当選したと知らせて支払いを促すフィッシングメッセージが届いたというユーザーの投稿が、10月20日ごろからXで注目を集めている。

イープラスを装う偽の当選通知を紹介したXのポスト

 偽メールは、プレオーダーの抽選で当選しチケットを確保済みだとして、同日午後9時までの支払いを求める内容。支払い用のリンク先はイープラスの公式ドメインではなく、米Amazon Web Services(AWS)のクラウドサービスのURLになっている。

イープラス以外にも ローチケ、ぴあをかたる偽メールが相次ぐ

 チケット販売サービスを装う偽メールは、イープラスに限らない。総務省の委託で迷惑メールの相談を受け付ける迷惑メール相談センターは、13日から19日までの1週間で、イープラス、ローソンチケット、チケットぴあの3社をかたる偽メールを10件以上掲載した。

 このうちローチケを装うメールは、「【ローチケ】抽選先行予約 当選結果のお知らせ」という件名で、テーマパークのペア招待に当選したとしてシステム利用料などを支払わせる内容。こういった当選を装う手口のほか、チケットぴあやローチケの名前で抽選エントリー料が未払いだと迫る偽メールや、3社のアカウントの再認証や決済情報の更新を求める偽メールも確認されている。

チケットぴあを装い抽選エントリー料の支払いを求める偽メール(出典:迷惑メール相談センター)

イープラスのフィッシング報告、1カ月で約6.5倍に

 こうしたチケット関連のフィッシングは、どの程度増えているのか。フィッシング詐欺の情報収集や注意喚起を担うフィッシング対策協議会に、直近の傾向を聞いた。

 同協議会が集計した直近6週間の動向によると、イープラスをかたるフィッシングの報告は、9月19日からの1週間では85件だったのに対し、10月10日からの1週間では552件と約6.5倍に増えた。チケットぴあは毎週110〜160件台で推移し、ローソンをかたる報告も10月10日からの1週間で65件を数えた。同協議会は、フィッシング全体に占める割合は少ないものの、増加の傾向は見て取れるとしている。

 手口は基本的に、偽サイトへ誘導してIDやパスワード、個人情報を盗み取るものだという。年末に向けてイベントが増える時期との関係を尋ねると、同協議会は時節柄の影響もあるとしつつ、昨今の攻撃者は名乗る企業を短期間で次々に切り替えており、詐取の成功率やメールの到達率で選んでいるのではないか、との見方を示した。

ローソンチケットが公開した偽メールの主な事例

 こうした偽メールに対し、チケット販売各社はどう対応しているのか。ローソンエンタテインメントは2日、ローソンチケットをかたる偽メールへの注意喚起を公開した。主な事例を9種類に整理しており、当選を装うものや利用料の未払いを理由に支払いを求めるものや、当選チケットの取り消しを告げて手続きを急がせるものもあるという。送信元が同社のドメインになりすましている場合もあるため、本文とリンク先のURLも確認するよう求めている。

 ぴあもITmedia NEWSの取材に対し、同社をかたる偽メールの存在を把握していると答えた。利用者から真偽を尋ねる問い合わせはあるものの、被害の連絡は受けていないという。対策として、チケットぴあのサイトで注意喚起のお知らせを随時更新しているほか、返信やリンク先へのアクセスをしないよう案内している。

「偽メールは見分けられない」前提の対策を

 では、偽メールはどう見分ければいいのか。同協議会に尋ねると、「基本的には見分けられない」との回答だった。見分ける方法が全くないわけではないが、スマートフォンの普及で利用者の層が広がった今、細かな見分け方を広めても全員が実践できるわけではなく、かえって危ういという考えだ。

フィッシング対策協議会の公式Webサイト

 そこで同協議会が勧めるのは、メールやSMSのリンクをそもそも開かないこと。手続きが必要なら、公式のスマートフォンアプリやブックマークからアクセスする。正規メールの送信元に企業のロゴを表示する「BIMI」などに対応したメールサービスを使えば、本物のメールを見た目で判断しやすくなるとも説明した。

 万一、偽サイトに情報を入力してしまった場合は、すぐにパスワードを変え、クレジットカードは利用停止と再発行の手続きを取る。身に覚えのない利用や、登録情報の書き換えがないかもすぐに確認が必要だ。一方、住所や電話番号といった個人情報は、どう悪用されるかその場では分からず、被害に遭って初めて気付くこともある。その場合は警察などの捜査機関に相談してほしいとのことだ。

印刷する
SNSでシェア
SpecialPR

この記事の著者

関連記事

こんなメディアも見られています

ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。

メールマガジンを配信中
メールマガジンを配信中

国内外の業界動向、AIやクラウドなどの最新技術、キャリア情報など今知りたい情報をまとめてお届けします。

いますぐご登録

本日の新着記事

アクセスランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

ITmedia NEWS SNS

X @itmedia_newsをフォロー

インフォメーション

ITmediaNEWSをフォロー

あなたにおすすめの記事PR