これぞ究極のノマド!? 荒野や密林を股にかけるWWFジャパンの“クラウド型の働き方”

世界各国と連携しながら環境保護活動を行うWWFジャパンは、アフリカや中南米などでもスムーズに働けるように“クラウド型のワークスタイル”を取り入れたという。その全貌を聞いた。

» 2014年06月09日 10時00分 公開
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photo WWFジャパン公式Webサイト

 社外から業務のファイルにアクセスしたり、さまざまな関係者とスムーズにファイルをやり取りしながら仕事する――そんなオフィスにしばられない働き方に注目が集まっている。だが多くの日本企業では、セキュリティやITシステムの制約からこうしたワークスタイルを取り入れられていないのが実情だ。

 そんな中、“究極のノマドワーク”と言えるほど柔軟なワークスタイルに取り組んでいる団体がある。世界約100カ国で活動する環境保護団体「WWF」(世界自然保護基金)の日本法人・WWFジャパンは、クラウド型のコラボレーションサービスを導入し、荒野や森林地帯を含むあらゆる場所でスムーズに働ける環境を整えたという。

 地球全体の環境保護をミッションに掲げる同団体は、どのような経緯でクラウド導入に至ったのか。また、これまでに見えてきた成果や今後の展望とは――WWFジャパンで働くスタッフ4人に聞いた。

「業務ファイルにアクセスできない」……旧システムの“2つの課題”

 パンダのマークで知られるWWFは、約100カ国で活動している世界最大規模の環境保護団体だ。その日本法人であるWWFジャパンは1971年に設立され、世界各国の省庁や自然保護団体などと連携しながら野生生物保護/環境保全に取り組んでいる。

 WWFジャパンの活動範囲は多岐にわたる。例えば、あるスタッフは国内外の自然保護団体とのやり取りを担当し、あるスタッフは野生生物の取り引きの監視、またあるスタッフはWWFジャパンの公式ECサイト「PANDASHOP」の運営――など、スタッフによって業務範囲が大きく異なっている。

photo WWFジャパン 企画調整室の羽鳥信行さん

 こうして幅広い活動を手掛ける中、同団体では大きく2つの課題に長年悩まされていたという。まず1つ目は、国内外で活動するスタッフがオフィス外から業務ファイルにアクセスできる環境がなかったことだ。

 「WWFジャパンのスタッフは世界中のさまざまな場所で仕事をしていますが、従来のファイルサーバはオフィス内のネットワーク経由でしか使えませんでした。したがって、スタッフは業務ファイルをノートPCなどにコピーした上で出張する必要があり、たびたびファイルのコピー忘れなどが起きていました」と、WWFジャパンのIT部門に相当する企画調整室の羽鳥信行氏は話す。

 もう1つの課題は、外部の関係者と安全にファイルをやり取りする仕組みがなかったことだ。「外部の団体とのやり取りが非常に多いにもかかわらず、そのための適切なツールを用意できていませんでした。従来から一部の業務ではファイル共有サービスを使っていましたが、容量やセキュリティ機能などの観点から、使いやすいとはとても言えないものでした」(羽鳥氏)

 世界を股にかけて環境保護活動を行う上では、従来のシステムに代わる新しいファイル共有の仕組みが欠かせない――こうしてWWFジャパンは、クラウド型コラボレーションサービスの導入に向けた構想をスタートする。

“地球の裏側でも使えるクラウド”を探して

 WWFジャパンがクラウドサービスの導入検討をスタートしたのは2013年夏のこと。4つのサービスを比較検討し、最終的にマクニカネットワークスが国内提供しているクラウド型コラボレーションサービス「Box」の採用に至ったという。

 「サービス選定に当たって最も差がついたのはセキュリティ機能でした。Boxは他のサービスよりはるかに細かくファイルへのアクセス権限を設定でき、詳細な監査証跡を取ることもできます。これらは他サービスにはない特徴でした」と羽鳥氏は振り返る。

photo WWFジャパン 企画調整室の林竜樹氏

 このほか、クラウド上にアップロードしたOfficeファイルを直接アプリケーションから開き、再編集したファイルをクラウド上に直接保存できる「Box Edit」機能も採用のポイントになった。「WWFジャパンではMicrosoft Officeで各種業務ファイルを作成しているので、クラウド上だけでファイルの編集が完結するこの機能は必須でした」(羽鳥氏)

 また、企画調整室の林竜樹氏によれば、クラウドサービスの検討以前は仮想デスクトップ基盤(VDI)の導入も考えていたという。だが、VDIは利用時に常時インターネット接続が必須なことから採用には至らなかったとのことだ。

 「WWFジャパンには、アフリカや中南米など、ネットワーク環境が脆弱な場所によく出張するメンバーが大勢います。Boxは、クラウド上のファイルをPCのローカルストレージに自動同期できる『Box Sync』機能を備えており、ネットがつながらない地域や飛行機内で作業できるのも採用の大きなポイントになりました」(林氏)

いざ導入――現場スタッフが感じたメリットとは?

 こうした検討を行った上で、WWFジャパンは2014年1月にBoxの採用を決定。2月1日に本格稼働をスタートした。

 導入の成果は既に表れているようだ。「WWFジャパンでは海外での会議に出席したり、プレゼンテーションをするメンバーが大勢います。Boxの導入で、プレゼンの直前までPCでファイルを作り込み、完成したファイルをタブレット端末で開いてプレゼンする――といった働き方も可能になりました」と林氏は話す。

photo WWFジャパンの佐多成子さん(サポーター事業室 パンダショップグループ)

 また、公式ECサイトの運営を担当している佐多成子さん(サポーター事業室 パンダショップグループ)は別のメリットも感じているという。「商品カタログ用の写真は1冊当たり200点ほどあるため、カタログを制作する上で、従来は外部のデザイナーやメーカー担当者とメールに添付する形でやり取りすることが非常に大変でした。今回、カタログ制作プロジェクトにBoxを採用したことで、作業が大幅に楽になりました」(佐多さん)

 Boxを使ったカタログ作成の手順としては、デザイナーなどの外部メンバーにBoxの無料アカウントを取得してもらい、WWFジャパンのストレージ領域に「コラボレーター」として招待し、Box上で写真やコメントをやり取りする方式を採った。佐多さんによれば、カタログ用の写真は1枚当たり数Gバイトにおよぶものもあるが、「Boxは容量無制限で利用できる上、ファイルのアップロード時間も速くて助かっています」という。

photo Box上での画像のやり取りイメージ
photo 各画像についてのコメントもBox上でやり取りしている
photo WWFジャパンの西野亮子さん(トラフィック イーストアジア ジャパン アシスタント)

 さらに、海外オフィスと共同で資料を作成する機会が多いという西野亮子さん(トラフィック イーストアジア ジャパン アシスタント)もBox導入のメリットを感じているという。「私は海外のオフィスと共同で、各国の税関担当者向けのトレーニング資料を作っています。この資料は容量が大きいため、従来はCDにデータを入れて郵送することもありましたが、Boxではファイルごとに共有用URLを発行できるので、外部メンバーへの資料提供がとてもスムーズになりました」(西野さん)

ファイルサーバ容量不足の解消にも貢献 全社共有フォルダもBoxに移行へ

 Boxの導入メリットは、現場スタッフだけでなくIT部門にもおよんでいるという。羽鳥氏は「自前で用意したファイルサーバは拡張性が低かったため、たびたび容量不足に悩まされていました。Boxは容量無制限で使えるのでこうした不安がなくなりましたし、スタッフのフラストレーションも解消できたのではと思います」と話す。

 また、林氏はユーザーサポートの面でも利点を感じているという。「スタッフが出張先でPCトラブルに遭った際、代替PCからBoxにアクセスしてもらうことで無事にプレゼンを終えられました。また、海外出張中のスタッフから問い合わせが寄せられた際も、インターネットさえつながれば遠隔でサポートできる点も便利に感じています」

 WWFジャパンは今後、Boxのさらなる活用を進めていく考えだ。現在オンプレミス型で運用している共有ファイルサーバをBoxに順次移行するほか、Box上にアップロードされた写真ファイルにメタタグを付け、スタッフが簡単に検索できる機能を追加する考えもあるという。

 Boxの導入後「スタッフ全体の仕事のやり方が変わってきたと実感しています」と林氏。WWFジャパンは今後も“クラウド型の働き方”を通じ、世界的な自然保護活動を一層推進していく考えだ。

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団体プロフィール

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WWF

1961年にスイスで設立され、100カ国以上で活動している地球環境保全団体。人と自然が調和して生きられる未来を築くことを目指し、地球上の生物多様性を守ることと、人の暮らしが自然環境や野生生物に与える負荷を小さくすることを柱に活動を展開している。


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