第2話:悪魔の棒と、悪魔の板うちの会社に幼馴染がIT担当者として入ってきたんだが。

» 2014年07月07日 10時00分 公開
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10秒でわかる! 前回までのおさらい

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  • とにかく目立たない人生を送ってきた男、宇津木憂介
  • ある日会社に着くと、大嫌いだった幼馴染・桜坂彩乃が新任IT担当者として待っていた
  • 無理やりPCを取り上げられ、タブレット試験ユーザーにさせられる ←今ここ

第1話:PCなんか、いらないよね?


悪魔の棒と、悪魔の板

 タブレットだけで仕事をしていたらいつの間にか終電が終わっていた。俺はこの1週間、毎日がその繰り返しだった。

 うちの会社にIT担当者としていきなり中途入社してきた悪の幼馴染・桜坂彩乃。こいつから、どう考えても嫌がらせとしか思えない「PC禁止令」が出されてはや1週間が過ぎ去った。

 確かに、彩乃からPCの代わりに与えられた「Dell Venue 8 Pro タブレット」はMicrosoft Officeなどもキビキビと動作する。しかし、その処理速度にタッチ操作のスピードが追いつかず、俺のデスクの上には大量の未処理書類が積み上がっていた。

 「宇津木くぅん 昨日までに出してって頼んでいたあの件、どうなったのかしら?」

 ――聞き慣れた声が背後に響く。営業部での俺の上司に当たる御手洗マリ。どんな経歴なのかは知らないが、俺とそう年齢も変わらないはずなのに管理職に抜擢された超キャリアウーマン(しかも小悪魔風美女)だ。

 しかし、その柔和な見た目は初対面の人間に誤解を与えること必至だろう。この小悪魔風美女、一度怒らせると……

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 「そう……、間に合わないの。じゃあかわいそうだから待ってあげる。2分後までに完璧な書類で出してね じゃないと始末書だから

 ……顔に出さずに激怒する一番怖いタイプなのである。

 そんなこんなで今日も人差し指の皮がむけそうになりながらも、マリさんの言葉責めになんとか応えながらタブレットとタッチ操作だけでの仕事を一段落(正確にいうと明日に持ち越し)させた。

 そうこうしている間に終電の時間が差し迫る。「やれやれ、今日はなんとか6日ぶりに電車で帰れそうだ……」。へたれかけたジャケットを羽織って帰り支度を急いでいると、その時――

 

 「頑張ってるみたいだけど、全然ダメね」

 ……すでに明かりの落ちたオフィスの中、不敵な笑みを浮かべた彩乃が何か板状のものと棒状のものを持って現れた。

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 悪夢の記憶がまた1つよみがえる。思い返せば幼少時、同じそろばん塾に通っていた彩乃から毎日のようにそろばんで殴打されていたっけ。

 どうやら大人になった今も、こいつはその得体のしれない物体でまた嫌がらせをしようとしているらしい。

 俺は野生の勘で彩乃を強引に振りきり、逃げるように終電へと急ぐ――

 「ちょっ……待ちなさいよ!」

 「おつかれ、また明日」



 翌朝。

 眠い目をこすりながら出社した俺のデスクの上に、何か見知らぬ箱が置いてある。

 おそるおそる開けると、まず目に入ってきたのは1枚の手紙だった。

 「もともとダメそうだと思ってアンタを選んだけど、正直ここまで仕事が遅いとは思わなかった。中途入社したばかりなのに上司(IT部門の部長)にタブレット導入を提案した私の立場はどうなるのよ!」

 筆跡鑑定をするまでもなく彩乃の字がそこにあった。昨夜俺に暴力を振るえなかった腹いせからか、ここぞとばかりに俺の悪口が書いてある。

 いや、しかし、手紙には続きがあるようだ。読み進めていくと……

 「とりあえず、出来損ないのアンタのために、少ない予算をはたいてこれ買ってあげたんだから……少しは感謝しなさいよね。−彩乃」

 内容とは裏腹に、可愛らしいイチゴマークのデザインが施された1枚の手紙。その下から現れたのは、おそらく昨日の板状の何かと棒状の何か――「Dell タブレット用ワイヤレスキーボード」「Dell アクティブスタイラス」だった。

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 あいつまさか、これを俺に渡すために昨日わざわざ終電近くまで待ってたのか……? そんなことを考えながら、Dell Venue Pro 8 タブレットにワイヤレスキーボードを装着する。専用ポータブルケースも付属しており、ぴったり閉じれば2つ折りタブレットケースとしても使えるギミック付きだ。

 「うん……これはいける、いけるぞ」。キー間隔が広いため打ちやすい。これならPCと同じように書類作成ができそうだ。

 もう1つ与えられたアクティブスタイラスを使えば、タッチ操作だけでは難しかった正確なメモ書きや入力操作もできるだろう。


 一週間後。

 俺のデスク上にたまった未処理書類は驚くほどきれいに片付いていた。

 「……そういえば、あいつに一言礼くらい言っておくか」

 そう思ってIT部門を尋ねると、部長から思わぬ言葉が返ってきた。

 

 

 「桜坂くんはいま、体調を崩して入院中だ」――。

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次回予告――「プレゼンとプレゼント」

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彩乃の身に降りかかった突然の事態にうろたえつつ、誘惑モードのマリから大一番のプレゼンを任されてしまった憂介。「俺なんかにこんな大役が務まるのか?」。そう頭を抱えていると――

 

第1話第3話公開中!


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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ニュース編集部/掲載内容有効期限:2014年7月20日

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