――今年8月、IDCFクラウドのWebサイトを大幅リニューアルしましたよね。見た目は大きく変わりましたが、従来のサイトは何か課題があったんでしょうか?
池亀さん 従来からクラウドサービスのオンラインセールスを強化したいという意識はありましたが、正直なところあまり取り組めていませんでした。昨年10月のIDCFクラウドのリリースを皮切りに、Webでのオンラインセールスを一気に加速させることができましたが、そんな中でも課題や問題点はありました。
そこで今回のサイトリニューアルでは、見た目のデザイン刷新だけでなく、見えてきた課題に対する改善を行っています。その1つ目が“スマートフォンへの最適化”、もう1つは“ユーザーインタフェース(UI)改善”です。
――IaaSのサービスサイトでスマホを重視するのはなぜなんでしょう。どのエンジニアも開発はPCですると思うのですが。
池亀さん その理由は、エンジニアの方々のワークスタイルを考えたからなんです。具体的には「企業に所属している個人エンジニア」を意識しています。
確かに、サービス申し込み後はPCで各種作業を行いますが、情報収集はきっと通勤時間や移動中に行いますよね。例えば、スマホで新サービスの情報を得たり、各種レビューやブログを読んだり。それと同じ流れで、IDCFクラウドのサイトでも情報収集してもらえるように、スマホでのサイトの見せ方、操作性にこだわったんです。とにかく「スマホファースト」で考えるようにしています。
――なるほど。しかし、個人のユーザーを獲得できてもなかなか大きな案件にはならないと思うのですが?
谷口さん 企業がクラウドサービスを選定する際もきっと、各社のカタログをいきなり並べて「スペック的にここがいいだろう」と選ぶわけではないと思うんです。トライアルで試したり、個人として使ったことのあるサービスのほうが、導入負担を抑えられるし、何より「会社でも導入してみようかな」と思うんじゃないかと。
そこで、まずは個人エンジニアに気軽に使ってもらうことを目指してサイト全体を見直しました。
――企業に属しながら個人でもサービス開発しているエンジニアって、かなり意識が高い層ですよね。彼らにも受け入れられるために、こだわったポイントはあるんでしょうか。
舘野さん リニューアル以前はコーポレートサイトとサービスサイトが一体化していたので、サービス情報にすぐたどりつきたい人に回り道をさせてしまうようなUI設計でした。また、テキストも提供者視点のものがまだまだ多く、利用意識が高い人からすると「で、結局何ができるの?」みたいな。
そこで今回、ユーザーの行動に着目し、サイトのプロトタイピングを繰り返し行ったり、ユーザビリティーテストを通じて得られた声をUI設計やライティングに反映させていきました。また、サービスサイトをコーポレートサイトから分離させ、申し込みまでの導線を考えてUIや使い勝手を最適化しました。
例えば、サービスの説明文はポイントをいくつか絞って打ち出すようにしました。その訴求ポイントも、自分たちが言いたい強みだけを出すのではなくて、ユーザーさんが一番気になる点を教えてあげられるように工夫しました。
池亀さん これまでは「爆速」「パワフル」といったプロダクトアウトなメッセージを押し出していたこともあるんですが、ユーザビリティーテストで実際にユーザーの声を聞くと、“爆速“なことが必ずしもサービスを選ぶ理由になっていないことに気付きました。つまり、多くのユーザーにとっては、「すぐに使える」「標準化されたAPIを使える」「セキュリティも万全」などのほうが重要だったんです。
それらを踏まえ、一見クラウドなら当たり前なことでも、エンジニアが本当に知りたいことや求める情報を、シンプルに分かりやすく伝えていくようにしています。
――確かに、振り向いてほしい相手に対し、自分の強みばっかり言っている人はモテないですよね。
池亀さん そうですね(笑)。あとは、サービスを実際に使っている、もしくは使ってほしいと考えている人たちにささるデザインを心がけています。そのためにお客さまが運営しているサービスやWebサイトからも傾向やヒントをもらいながら、デザイントーンや、使いやすいUIになるように工夫しています。
――リニューアルの成果はありましたか?
池亀さん サービスサイトのページビューは、従来と比べて1.5倍ほどになりましたね。モバイルデバイスからのアクセスも1割ほど増加しています。また、訪れるユーザーがサイト内でどのように行動しているのかを徹底的に分析することでユーザー行動に沿ったコンテンツ展開や、ナビゲーション配置などを改善したことで、申込率も大幅に上がりました。
――1.5倍! すごいですね。
谷口さん また、当社自体のブランド力向上にもつながっているように感じています。
昨年、インフラ系エンジニア向けのあるイベントに私が参加した際、クラウド事業者としての当社の認知度は3割程度だったんです。それが今年同じイベントに出てみると、認知度が7〜8割ほどに上がっていました。これにはIDCFクラウドというサービス自体の改善も影響していると思いますが、オンライン開発部としては「やったぞ」という気持ちになりましたね。
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