メタルと樹脂の劇的融合 “G-SHOCK”「MTG-B1000」開発陣の挑戦(1/3 ページ)

今までよりも踏み込んだサイズダウンに取り組み、新しい耐衝撃構造に行き着いた“G-SHOCK”「MT-G」の新製品「MTG-B1000」。その詳細と経緯について、カシオ計算機で商品企画を担当する牛山和人氏とデザイナーの正林盛次氏に話を聞いた。

» 2018年06月14日 10時00分 公開
[山本敦PR/ITmedia]
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 堅牢性を維持したまま、さらなる小型化、薄型化を達成すること――メタルと樹脂を融合させた“G-SHOCK”「MT-G」の新製品「MTG-B1000」(以下、B1000)は、今までよりも踏み込んだサイズダウンに取り組み、新しい耐衝撃構造に行き着いたという。その詳細と経緯について、カシオ計算機で商品企画を担当する牛山和人氏とデザイナーの正林盛次氏に話を聞いた。

“G-SHOCK”「MT-G」のニューモデル「MTG-B1000」はシルバーとブラックの2カラー。ブラックはメタルパーツにIP(イオンプレーティング)処理を施したもの。希望小売価格はシルバーが9万円、ブラックは10万円(いずれも税別)となる。6月15日発売
カシオ計算機 羽村技術センター 時計企画統轄部 商品企画部の牛山和人氏(写真=左)、同センター 時計企画統轄部 デザイン企画部の正林盛次氏(写真=右)

「コアガード構造」の再構築

 カシオの腕時計、G-SHOCKシリーズのラインアップは、等しく高度な耐衝撃構造を備えている。中でも「MTG=Metal Twisted G」シリーズは、メタルと樹脂のコンビネーションにより耐衝撃性能を高める独自のアプローチで知られる異色のシリーズで、G-SHOCKの機能美にメタルの高級感を加えたデザインも人気だ。

G-SHOCKのプレミアムラインであるMT-Gシリーズの存在感を強くアピールしたいという牛山氏

 商品企画担当の牛山氏は、「MT-Gシリーズは、そのボリューム、存在感が大きな特徴です。ただ、そのサイズから『デザインはとても気に入っているけれど、自分が着けるにはサイズが少し大きい』という(消費者の)声も一部ありました。そこで今回、MTGの特長はそのままに、より多くの方に使用して頂けるよう、薄型、小型化を目指して新製品の開発に着手しました」と話す。

 MT-Gシリーズの大きな特長は、インナーケースを支えるベゼルと裏蓋を4本の金属パイプで支える独自の「コアガード構造」。正林氏のデザインチームは、パーツ1つ1つの設計から組み立て方法まで、すべてを再検討するところからスタートする。パイプで支える構造も見直し、ベゼルと裏蓋を2つの壁状パーツで連結。全体を箱型のフレーム形状とすることで大幅なサイズダウンと高い耐衝撃性能の確保に成功した。

従来機のS1000ではベゼルと裏蓋を4本の柱状のパイプで連結している
B1000ではベゼルと裏蓋を12時と6時の位置にある壁状のパーツで連結。箱型のフレーム形状にすることで耐衝撃性能を確保しながら小型化、軽量化を実現した

 「従来モデルでは金属パイプを樹脂パーツの中に配置していたので、構造体が外からは見えていませんでした。今回は構造全てをあえて外に出し、コアガード構造の強さと安定感をアピールしました。上下のビスが通る箇所の側面はラウンド形状なので、一見すると円柱状のパイプがあるように見えるかもしれませんが、実は左右がつながっている壁状のパーツです。ラウンド形状にしたことで、構造体が通っていることのアピールと、わずかですが軽量化に貢献しています」(正林氏)

左のG1000の構造体に比べると右側B1000のものは見た目にも明らかにコンパクトになっている
B1000の壁状のパーツは側面が柱のようなデザインになっている。外側にあえて見せるデザインとして強度と信頼性をアピール。上下から別々のビスでとめて固定している。ビス穴にはホーニング加工を施して美しく仕上げている

 時計のエンジン部分を格納するケースには、軽く剛性の高いカーボンファイバー入りの樹脂を採用。さらに必要最小限の円柱形状にして、その周りを強靭(きょうじん)なメタルベゼルや壁状パーツでしっかりと固定することでミニマムサイズの外装デザインを実現したと正林氏は話す。結果、ケースのサイズはS1000との比較でタテが2.8ミリ(12時、6時の方向)、横が1.8ミリ、厚さは1.1ミリのサイズダウンを達成している。

MTG-S1000(奥)とMTG-B1000(手前)のインナーケース
メタルバンドを採用している「MTG-S1000」

パーツの役割を見直して点数を集約。風防のガラスにもこだわり

 正林氏はこれまでに何機種ものデザインを担当してきたが、MT-Gシリーズに関わったのは本機が初めてだったという。取材の際に見せてくれたB1000の初期デザイン画からは正林氏の試行錯誤の跡が垣間見える。

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提供:カシオ計算機株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2018年7月13日

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