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» 2019年12月27日 10時00分 公開

最新G-SHOCK「MTG-B1000XBD」を“分解”してみた そして分かったタフさの秘密と開発者のこだわり

[山本敦,PR/ITmedia]
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 実用本位の強じんさと機能を持ちながら、洗練されたデザインでメカ好きの心をわしづかみにし続けているカシオの「G-SHOCK」。中でも2019年秋に発売した「MTG-B1000XBD」は、軽さと耐久性を併せ持つカーボン積層ベゼルで質感を高めた注目のモデルだ。今回はこれを大胆にも“分解”し、外観からは想像できない意外な構造や各パーツの細部を探っていく。

 今回、分解作業と解説を担当してくれたのは、カシオ計算機の羽村技術センターで外装開発に携わる中塚義樹氏だ。分解するMTG-B1000XBDはもちろん、まっさらな新品(13万5000円)。バラバラにした後は再度組み立て、広報スタッフが撮影用のサンプルとしておいしく活用する予定だ。

MTG-B1000XBDの分解を担当してくれたカシオ計算機、羽村技術センターの中塚義樹氏

NOTICE

分解は、高度な技術と専門工具を持つスタッフが作業しています。一般の方が分解すると保証を受けられなくなりますので、ご注意ください


まずは外観を眺める

 MTG-B1000XBDは、新構造のメタル外装にBluetoothやマルチバンド6電波ソーラーを詰め込み、カーボンベゼルをまとったハイエンドモデルだ。カーボンはG-SHOCKシリーズにとって、樹脂、金属に続く第3の素材。黒いカーボンが織りなす市松模様が周囲のブラックメタルの佇まいと見事に調和している。

これから分解する新品の「MTG-B1000XBD」。価格は13万5000円(税別)

 ベゼルの側面に見えるアクセントの赤は、塗装ではない。黒はカーボンファイバー、赤が着色したカラーファイバーにそれぞれ樹脂を含浸させたもので、それぞれミリ単位の厚さのシート状になっているという。異種素材を重ね合わせ、アーチ状にプレスしたプレートをベゼルの形に切削するのだ。中塚氏は、「各層が波打つことなく均一に重なり合って見えるよう、丁寧に微調整を繰り返した」と話している。

切削加工前の重ね合わせたシート。地層のように重なっていることが分かる。これをベゼルの形に合わせて切削していく

 トップには幾何学模様とG-SHOCKのロゴなど文字を配置した化粧パーツの層を重ねた。G-SHOCKのロゴはプレートに彫り込んでから黒色で色入れして立体感を加える。その後、さらに全体を塗装することによって滑らかなつやを出すという。驚くほど手間をかけた本機のベゼルは、開発期間に約1年半を要した。

いざ、分解

 では、分解に取りかかる。

作業開始。愛用の万力は、中塚氏の部署に昭和の時代から受け継がれてきたものだ。なお、一般の方が分解すると保証の対象外となるので真似しないように

 まず、ケースからバンドを取り外すため、ケースとバンドを固定しているボルトに取りかかる。ボルトは“おねじ/めねじ”による、とも締め構造になっているため、専用の工具を使って力加減を調整しながら慎重に作業を進める。中塚氏の表情も真剣そのもの。上下2カ所のボルトを外すとケースとバンドが分離した。

本体ケースとバンドを分離。12時と6時の位置で固定しているボルトを外す

 バンドを手に持ってみるとその軽さに驚く。外側はメタル、内側はファインレジンというハイブリッド構造としたことにより、この軽快な装着感が実現できたという。ステンレス製のボディはコマ(パーツ)の一つずつに細かな面取り加工が施されており、角度を変えるとキラリと輝く。細かな化粧加工が上品さを醸し出し、カシオのものづくりへのこだわりを感じる部分だ。

 続いて中塚氏は、より繊細な作業に適した工具に持ち替え、裏ぶたを外す作業に取りかかった。ステンレスにIP(イオンプレーティング)処理を施した裏ぶたが外れると、鮮やかな赤いシート状のパーツが露出した。

 この赤いシートは、「αゲル」と呼ばれるシリコンをベースにした柔らかく強いゲル素材でできている。外からの衝撃を吸収し、インナーケースに伝えないショックアブソーバーの役割を果たしているのだ。このシート以外にも、要所要所にαゲルの衝撃吸収パーツがレイアウトされていた。

裏ぶたを開けると赤いαゲルのシート。このシートを外すとモジュールの背面が露出する

 今回のように裏ぶたを開かない限り、このαゲルのシートを一般のユーザーが目にすることはない。にもかかわらず、本来は無着色の素材にわざわざG-SHOCKシリーズのテーマカラーを着色したという。カシオのこだわりようは、われわれの想像を超えていた。

 裏ぶたの内側には圧電素子が組み込まれている。ここに電気信号を流して裏ぶたを共振させ、スピーカーの役割を持たせるという。スピーカーが見当たらないのに、アラームやブザーが鳴る秘密はここに隠れていた。

裏ぶたの内側に圧電素子を配置。裏ぶたを共振させてブザー音を発する

心臓部のモジュールに到達

 いよいよ心臓部であるモジュールにアクセスしていく。外科手術のように軽やかな手さばきで、中塚氏が工具を片手にパーツを外していく。

 「中枠」と呼ばれる黒いプレート状のパーツが外れると、基板の背面やバッテリーが露出した。この中枠は、モジュールを載せたインナーケースが内部でふらつかないように支えている。中枠そのものも衝撃を吸収する樹脂で作られている上、12時と6時の方向には赤いαゲル製ショックアブソーバーが組み付けられていた。

中枠と呼ばれているパーツを外す。中枠にもαゲルの保護パーツが組み込まれていた

 ケースを貫いてモジュールに固定されている竜頭(りゅうず)を外す。竜頭の先端が特殊な蹄鉄(ていてつ)形のリングで固定されているため、これを外してから慎重に芯を引き抜く。これでモジュールが露出した。

 改めてモジュール上部のフェイスプレートを眺めると、編み目模様が見える。インダイアルのプレートにもレコード盤のようなサークル状の引き目が加工されている。傾けると光の反射を受けて模様が浮かび上がる、とても贅沢な仕上げだ。時針と分針には縦に細かなコスメティックラインを入れて立体的に見せている。

心臓部のモジュール。時分針、インナーダイヤルのプレートに細かな化粧飾りが施されている

バラバラのパーツも美しい

 アウターケースを分解して、カーボン積層ベゼルをじっくりと見てみよう。

 裏ぶたと密着する位置に取り付けられていたO(オー)リングと呼ばれるゴム製のパーツをピンセットを使って取り外す。このチューブ状のパーツがウォッチ内部の気密性を高めるためには欠かせないという。側面に配置されているボタンも、竜頭と同じように蹄鉄型のリングで固定されているので、先にこれを外してからボタンを引き抜く。

時計内部の気密性を高めるために配置されているOリング

 いよいよベゼルを固定しているボルトに中塚氏が手を掛けた。4カ所で固定しているボルトを外すと、12時と6時の方向に1つずつ配置されているカン足が全容を現した。ベゼルと裏ぶたを強固なブロック形状のフレームで支えているこのパーツが本機の柱。カーボン積層ベゼルとカン足の間にも、カン足への衝撃を内部に伝えないように分散させるため、ファインレジンの赤いシートが挟み込まれていた。

ベゼルの側面に配置されている3つのボタンをピンセットを使って慎重に外していく
ベゼルを横から見ると複雑な形状にもかかわらずシートが美しく折り重なっていることがよく分かる
カーボン積層ベゼルの全容

 アウターケースの外側には“横ベゼル”と呼ばれる柔らかな樹脂で作られたシャーシが組み付けられている。これもまたケースにかかる負荷を分散させるために欠かせないパーツだ。

アウターケースから露出している主要なパーツを保護している“横ベゼル”

 ここまで分解したところで、ついに風防のサファイアガラスと、分目がプリントされているフェイスリングを固定したアウターケースに辿り着いた。

アウターケースからカーボン積層ベゼルを外す

 風防のサファイアガラスは特殊な機械を使って強固に組み付けられているため、今回はこれを外すことまではしないが、ガラスはエッジ側を薄く、内側を肉厚にした凸面形状となっており、強度を確保しながら本体の軽量・小型化を実現したという。

ハイエンドのこだわりにナットク

今回分解したMTG-B1000XBDの主要なパーツを並べた

 以上がMTG-1000XBD分解の全容だ。中塚氏によると、MTG-1000XBDはモジュール以外の部分だけでもスタンダードモデルの倍近い部品点数で構成されている。それは、部品を細分化することにより、一つずつの部品に対して形状の最適化や異なる仕上げが可能になるからだという。

 「外装開発には長い時間をかけてきましたが、新たなMT-GシリーズのハイエンドモデルであるMTG-1000XBDならではのこだわりを多くの方々に楽しんでほしいと思います」

各パーツについて取材陣に解説しながら手際よくMTG-B1000XBDを分解してくれた中塚氏

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提供:カシオ計算機株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2020年1月26日

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