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» 2021年12月01日 10時00分 公開

“攻めの姿勢”だけでいい? 「半導体製造装置」大手メーカー、東京エレクトロンのデータ活用術

[PR/ITmedia]
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 日本には「半導体製造装置」の製造で日本1位、世界4位*のシェアを誇る「東京エレクトロン」がある。1963年に創業した同社はもともと、製造機能を持たない技術専門商社だったが、米国の半導体製造装置メーカーと合弁会社を立ち上げ、その技術を習得してアフターサポートまで提供することで「メーカー機能を持つ技術専門商社」という独特なポジションを確立した。

photo 左から電通国際情報サービス(ISID)の水本圭佑氏、東京エレクトロンの柿良幸氏、ムーネス氏、岸佳名子氏、ISIDの三橋一博氏

 半導体はIT機器の性能を左右する重要な部品の一つだが、その製造工程には、匠の知見に裏打ちされたアナログの技が随所に宿っている。ここにライバルの追従を簡単に許さない東京エレクトロン最大の強みがある。

 同社が半導体製造装置の業界で世界4強を争うまで上り詰めたのは、この強みを生かし、市場の要求に応え続けながら着実に成長を続けてきたからだ。今ではさまざまな種類の半導体製造装置を開発、生産している。それぞれを主導するグループ会社が各分野で専門性を高め、技術を磨き、質の高い装置を生み出してきた。

  別の見方をすれば、各グループ会社がそれぞれに唯一無二の卓越した技術やノウハウを蓄積しているということでもある。それらの情報をデータ化し、全社的に横展開することで、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、新たな企業価値を創出できるのではないか。

 そこで、東京エレクトロンはDXの強化を目的にソフトウェア開発拠点の札幌事業所を移転。2020年11月に「TEL デジタル デザイン スクエア」を開設した。21年1月には「TEL DX Vision」を発表。DX推進の一環として、グループ全社の情報を、データ活用基盤「GMX」に集約することで、データの標準化を加速させDX推進に弾みをつける取り組みをスタートした。東京エレクトロンの柿良幸氏(情報システム部 部長代理)は「いうなれば企業文化そのものに対するチャレンジです」と言う。

photo 東京エレクトロン提供

 GMXは、一言で表すと「グループ全社のファクトベースな情報を集約した基盤」だ。社内で生まれるあらゆる“事実”をデータとして集める場であり、具体的には会計、受注、売上、生産、輸出入、部品・装置情報といった、まさにグループ全社のあらゆるデータが集約される。

 蓄積したデータを経営層から工場に務める社員まで全社的に活用することで、現状分析による課題解決はもとより、5年後、10年後といった未来を予測し経営や業務上の判断に役立てるのが目的だ。

「攻め」と「守り」のバランスが大切

 一般的にDX推進の一環としてデータ活用を進める目的は大きく分けて2つある。今ある強みをさらに伸ばして成長するための“攻め”のデータ活用と、企業が課題解決のために取り組む“守り”のデータ活用だ。

 東京エレクトロンは半導体装置メーカーとして世界4強を争うほどの成功を収めており、株価も3年前から3倍以上に上昇している。GMXも成長のために構築した“攻め”の一手だ。

 ビジネスモデルの変革や新規サービスモデルの構築を目指す攻めの姿勢と同時に、既存のプロセスやビジネスモデルでの業務改善を実現する守りの姿勢として、デジタル化を推し進める考え方もある。

 DXの必要性が叫ばれる中、「攻めの姿勢」こそが、最も必要とされるIT投資であるという論調が今は強いが、柿氏は「『攻め』と『守り』の議論は、バランスの問題です」と力説する。

photo 東京エレクトロンの柿良幸氏(情報システム部 部長代理)

 「データ分析で未来をシミュレーションすれば、新たな企業価値創造を持続的に推進する経営を実現できます。一方で、ステークホルダーのことを考えると、足下のビジネスを着実に伸ばすことも怠ってはいけません。分析基盤によりデータを可視化し活用することで、作業の自動化や効率化と言った業務改善を実現でき、資本効率の向上につなげられます。『攻め』と『守り』はクルマの両輪のようなもので、全方位でコミットすることがベストです」(柿氏)

 つまり、全社の情報が集約されたGMXは、経営層向けのKPI分析基盤としての「攻め」のツールとしての役割だけでなく、今日、明日を生き抜くために必要な直近の経営データの提供、フィールドサービスによる顧客分析や経理部門のレポート作成業務に至るまで、幅広い業務で即戦力として活用可能で、「守り」も含めた全方位の役割を担っているということになる。

 「好調であるがゆえに、その影に隠れて見落としがちな“負のファクター”をあぶり出すためにも、GMXのようなデータ基盤は不可欠な存在です」(柿氏)

重視したのは“エンタープライズ品質”

 東京エレクトロンが取り組む「守りの姿勢」にはもう一つの意味がある。情報セキュリティだ。

 GMXを構築するにあたり、同社がプラットフォームとして選んだのがMicrosoft Azureの「Azure Synapse Analytics」だ。選定の理由として「データ保持期間を10年以上と定めているGMXには、サービス事業者のコミットメントも重要です。幾つかの候補の中でも、このプロジェクトの未来も考慮したうえで、積極的な支援を約束してれくれたのはMicrosoftだけでした」(柿氏)と明かす。

 処理速度や価格面では、他社サービスの方が有利な部分もあったが、エンタープライズの視点で総合的に評価した結果Azureを選んだという。

 GMXには日本はもとより、世界中のグループ全社のデータが集まる。そのため、セキュアであることが最大の優先事項になる。他社クラウドと比較してはるかにセキュアな環境で、安心してデータを扱えるのはAzureしかないというわけだ。

 「この規模のデータ基盤をクラウドで運営する場合、軽快さや手軽さばかりに目を奪われてはいけません。われわれが預けたデータに対するコミットメントを考慮するとAzureしか考えられませんでした」(柿氏)

 また、サポートの部分もAzureを選んだ大きな理由だという。他のクラウドサービスは、データ活用のためのツールは提供してくれるがサポートについてはMicrosoftと比べて消極的な姿勢だったそうだ。

 「われわれとしてはそれでは困ります。その点、Microsoftはニーズをくみ取ってくれ、積極的に提案してくれました」(柿氏)

 対してMicrosoftには、開発の現場で開かれた会議にAzureのエンジニアが参加して、システムの構成などについて一緒にディスカッションするサービスがある。今回の開発は東京エレクトロンがパートナーの電通国際情報サービス(ISID)と協力して進めているが、開発中に困ったことがあれば、Microsoftのエンジニアに質問することもできた。

海外法人や工場のIoTデータも統合

 GMXが本格稼働を始めてから、経営層などは会議で使う資料作りなどの場面で当たり前のようにデータを活用できるようになっている。

 もちろん、データそのものが経営を動かしたり、装置を生産したりしてくれるわけではない。しかし、GMXが事実としてのデータを全社員に提供することで、社員個々、あるいは、全社的な企業活動の中心にデータを据えることができる。経営や業務におけるものごとの判断がデータドリブンで、円滑かつ的確に進めることが期待できるという。

 今後はデータの取得領域をさらに広げ、海外の現地法人や工場向けのIoTシステムのデータも取り込んだ基盤の構築を目指す。次の課題はデータ量の増加だ。東京エレクトロンはMicrosoftの支援も受けつつシステムやプロセスを見直し、GMXのパフォーマンスをチューニング。より高度なデータ活用の実現でさらなる成長を目指していく。

(後編)「半導体製造装置」メーカー世界4強の東京エレクトロンがデータ活用 エンタープライズがクラウドに求めた要素とは

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 半導体製造装置の業界で世界4強の一角である東京エレクトロンは、さらなる成長のためにクラウド上でデータ活用を推進している。エンタープライズとして同社がクラウド基盤に求めたのは、膨大なデータを安心して預けられる堅牢性と、拡張や変化に対応できる柔軟性だった。


*出典:Gartner, “Forecast Semiconductor Wafer Fab Equipment(Including Wafer-Level Packaging), Worldwide, 1Q18 Update”および“Worldwide Total Systems Sales from Equipment Database June, 2018(VLSI research)”



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