熱冷めやらぬアウトドアブームや防災意識の高まりとともに、ポータブル電源に人気が集まっている。電源のない場所でのキャンプや、電源が失われた際のバックアップとして活用できるからだ。中でも今、注目したいのは“環境に配慮した”ポータブル電源。これは環境への負担を軽減するという、ただSDGsのトレンドにあやかって人気を獲得したわけではない。太陽光というグリーンエネルギーを生かすことで、節電効果はもちろん、バッテリー切れというリスク回避の観点でも非常に実用的であるためだ。
しかし、世の中には数えきれないほどのポータブル電源ブランドが存在する。どれを買えばいいのか、選択に迷う読者も多いだろう。そこで本記事では、ITmedia NEWSが人気のポータブル電源をピックアップ。実際に使用感を試した感想をレビューする。
今回紹介するのは、BLUETTI(ブルーティ)から発売されているポータブル電源「BLUETTI AC180」(以下、AC180)だ。BLUETTIは2019年に設立された若い企業だが、発売したポータブル電源シリーズはいずれも高い人気を誇っており、現在急成長している。AC180も同社の最新技術が詰め込まれており、とても使い勝手がよい。早速、細部をチェックする。
まずはAC180の外観から紹介しよう。サイズは340(幅)×247(奥行き)×317(高さ)mmとコンパクト。ただし重量は約16kgあるため、家の中での移動なら問題ないが、車に持ち運ぶときには2人で運ぶか、台車があった方がよいと感じた。なお本体両脇には持ち手があり、持ち運びやすいよう工夫されている点はうれしい。本体のバッテリー容量は1152Whだ。
本体正面には、バッテリーの可動状態を表すインジケーターが配置されているほか、DC入力コネクター、シガーソケット、AC出力ポート×4、USB Type-Cポート、USB Type-Aポート×4が配置されている。本体右には充電用のAC入力ポートのほか、入力ヒューズとアース電極、本体冷却用のファンがある。本体左にも本体冷却用のファンが取り付けられている。
AC180がユニークなのは、天板にスマートフォン1台分のワイヤレス充電用エリアが用意されていることだ。これはBLUETTIの他製品にも搭載されている機能だが、iPhoneなどのデバイスをここで充電できるので、USBポートを消費しないで済む。
AC180に同梱されているケーブルは、本体充電用のAC電源ケーブルに加えて、シガーソケット用のDC電源用ケーブル、ソーラーパネル接続用のケーブル(MC4)の3種類。別途買い求める必要がない構成になっている。
AC180はバッテリーとしてリン酸鉄リチウムイオン電池が利用されている。これは最近のポータブル電源では定番となっている電池で、スマートフォンなどに使われているリチウムイオン電池よりも安定性が高く、発火などの危険が少ない。また繰り返し充電しても性能が維持されるため、たいていの場合は10年程度の寿命を持つのが特徴だ。
AC180も同じで、3500回以上の充放電サイクルが可能となっている。このほか、一度充電してもそれほど放電しないという特徴もある。試したのはリン酸鉄リチウムイオン電池を利用する他製品だが、筆者の経験だと3カ月以上たってもほぼ満充電のまま利用できた。AC180でも同様のことが期待できるだろう。
デフォルトだとAC出力は1800Wまでだが、「定電力モード」に設定すると最大2700Wまでの出力に対応する。ドライヤーなど高出力のものを利用したいときには定電力モードを利用するとよい。設定は簡単で、AC出力オフの状態でACボタンとDCボタンを2秒以上押して設定モードにしたあと、ACボタンを2秒長押しするとインジケーターの下に「CW」マークが点灯し、定電力モードで利用できるようになる。
なおインジケーターは左に入力電力量、中央にバッテリーの残量とおおよその利用可能時間、出力電力量、ACとDCのオンオフが分かるようになっている。インジケーターのLEDは見やすく、バッテリー残量も青の帯が表示されていて視認性に優れる。
肝心の「AC180で電化製品を何時間ほど動かせるか」というところだが、前述のように本体のバッテリー容量は1152Whなので、100Wの製品を使ったとして1152Wh÷100W=約12時間という計算になる。スマートフォンなどを充電する際には全く気にする必要がないが、例えば屋外で焼肉をしたいといった場合、1000WのIHコンロを使ったら使用可能なのは約1.2時間の計算になる。ただしこの程度使えるのであれば、食事を楽しむのにはそれほど問題がないといえるだろう。
そして冒頭で触れた「環境への配慮」「節電」として紹介したいのが、3種のソーラーパネル「PV120」「PV200」「PV350S」と本体がセットで販売されているモデルだ。ソーラーパネルで無限ともいえる太陽光を取り込めるため、電気代の節約はもちろん、環境への配慮もできる。ソーラーパネルによる最大入力は500W。充電時間は、晴天時であればわずか3時間で済む仕様になっている。
ソーラーパネルのセットモデルは、アウトドアで連泊する場合などには重宝するし、防災の観点から購入してもよい。PV120、PV200、PV350Sという製品名に付いている数字は発電容量だが、120Wだと少し心もとないので、200Wあたりのソーラーパネルを用意しておくとよいだろう。
AC180にはBLUETTI製品共通で使える「BLUETTIアプリ」が、iPhone/Androidともに用意されている。利用するにはメールアドレスによるアカウント登録が必要だが、便利なアプリなのでBLUETTI製品利用時にはぜひ導入したい。
BLUETTIアプリを起動すると、ポータブル電源を登録するための「機器の追加」や登録したBLUETTIポータブル電源を使うための「マイBLUETTI」のほか、マニュアルを参照できる「ユーザーガイド」や、製品に対する問い合わせができる。便利なのがユーザーガイドで、外出先などで手元にマニュアルがない場合でもPDFファイルをダウンロードして参照できる。
BLUETTIアプリからポータブル電源を参照すると、バッテリーの残量や入力電力量、出力電力量のほか、DC/ACのオンオフの操作も行える。加えて、画面右上の歯車アイコンからは充電モードの設定や、電源出力を検知しなくなってから自動的にシャットダウンする「DC-ECOモード」「AC-ECOモード」といった設定もできる(この設定も節電にはありがたい)。全ての設定を工場出荷時にリセットしたい場合は「高級設定」から可能だ。
本体の充電モードだが、「高速」「標準」「静音」の3つから選べるようになっており、デフォルトでは高速モードが設定されている。高速モードを使うと45分で80%まで充電ができるので便利なのだが、試していたところ高速モードで1300〜1500W程度、標準モードで1000W程度の電力が必要だった。このため契約している電力量が低いと、例えば電子レンジと合わせて使ったりした場合、ブレーカーが落ちることにもなりかねない。家庭の電力量に不安がある場合は、充電に時間はかかるが300〜400W程度である静音モードを利用した方がよいだろう。
ここまで見てきたように、AC180はコンパクトな筐体に1152Whというバッテリー容量を持っているので、アウトドアではもちろんのこと、災害で電力が失われた場合でも、ソーラーパネルと組み合わせて活用できるポータブル電源だ。本体での操作だけでなくBLUETTIアプリによる設定も可能で、とても簡単に利用できる。これからの季節はアウトドアを楽しみたいという場合も多いと思うが、AC電源が同時に4つ利用できるので、家電製品を持ち込んで料理することも可能だ。万が一のことを考えても、用意しておいても損はない。ぜひ購入を検討してみてはいかがだろうか。
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提供:株式会社ブルーティパワー
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2023年7月23日