各所で巻き起こっている企業変革の脈動が「監査」の世界にも響いている。テクノロジーを活用したイノベーションに取り組んでいるのが、“世界4大監査法人(Big4)”の一角をなすEY新日本有限責任監査法人(以下、EY新日本)だ。
同法人は、手作業が多い監査業務にデジタルの息吹をもたらすべくテクノロジー人材を積極的に採用。監査のプロフェッショナルである公認会計士とテクノロジー人材が協働することで、一般企業とは違う化学反応が起きている。
そうは言っても、両者が一緒に働いている姿を想像するのは難しい。EY新日本で活躍するメンバーは、どのような働き方をしているのだろうか。監査法人で働く意義と魅力を、公認会計士とテクノロジー人材それぞれに聞いた。
監査法人の役割は、企業の会計や決算に目を光らすことだ。「厳格」「誠実」「責任」といった堅実なイメージが強いのではないだろうか。しかし、インタビューを受ける公認会計士やテクノロジー人材は“柔らかな空気”をまとっていた。陽光が差し込むオフィスの雰囲気と質問に笑顔で答えるメンバーの様子から、職場でのびのびと働いている情景が想像できる。
EY新日本は、150以上の国と地域で企業の監査やコンサルティングを手掛けているEYの日本におけるメンバーファーム(業務提携している監査法人)だ。日本を代表する大企業を顧客に抱えている。多くの日本企業がDXとビジネス変革に取り組んでいる今、監査法人もテクノロジーを活用することで競争力を向上させられる時代になった――こう話すのは、EY新日本の森下さんだ。
同法人は、目指す監査の姿を「Assurance 4.0」として定義。業務の中心が紙だった段階を「Assurance 1.0」とし、AIやデータなどの先端テクノロジーを活用することで次世代の監査モデルを構築しようとしている。そのためにアシュアランスイノベーション本部を設置して、テクノロジー人材を採用し続けているのだ。
現在、アシュアランスイノベーション本部には会計士やテクノロジー人材を含む多様な人材が約800人所属しており、変革の軸となる様々なプロジェクトを推進している。その一つが、連携調書作成システム「Consolidation Workpaper Generator」(CWPG)の開発、運用だ。
基幹システムや会計ソフトウェアが普及したことで、監査に使う財務や会計などの情報をデジタルデータで保有する企業が大半を占めるようになった。しかし、監査チームがそれぞれ独自の方法でデータを入手、加工していたので、監査業務が非効率だったとEY新日本で働く公認会計士の田口さんは振り返る。
「顧客企業とのデータ連携が不十分だったが故に、データを手作業で回収、加工していました。完成させる監査調書の仕様や手続きは決まっているので、数百を超える監査チームがそれぞれ同じ作業をしているのは非常にもったいないと思っていました」
多くの監査法人が課題とするこの問題を、EY新日本はCWPGで解決しようとしている。CWPGは、顧客企業が利用している連結会計システムから監査用データを自動で取得して、データの成形や項目チェックなどを自動化するツールだ。2021年春に簡易版をリリースし、段階的に機能を拡充している。公認会計士が単純作業ではない業務に時間を費やせるようになっただけでなく、顧客企業にとってもデータ提出の手間を省いたり調書の品質向上につながったりしていると森下さんは話す。
CWPGは、公認会計士の悩みをテクノロジー人材が解決したというお手本のような事例だ。その開発にはどのようなメンバーが携わり、どのようなやりとりがあったのだろうか。
CWPGの開発を担当している道面さんは、EY新日本からITコンサルティング企業に転職し、EY新日本に復帰したという経歴を持つ。“テクノロジーの修行”を積んで舞い戻ってきたわけだ。
「EY新日本で監査業務に携わった後、ITコンサルティング企業で社内DXを担当しました。2つの経験から、監査の世界にはデジタル化や自動化ができる領域が多くあることに気付いたのです。EY新日本に再転職し、監査業務のデジタル化を推進する役割に就きました。公認会計士からの要求を取りまとめて、開発側に伝える立ち位置です」
道面さんがCWPGのプロジェクトに参画した当初のメンバーは2〜3人だった。CWPGの優先度を鑑みてテクノロジー人材を増強し、今では約20人が開発や運用に携わっている。公認会計士からの要望と実現可能性の間で折り合いを付けながらリリースにこぎ着けたという。
リリース後には運用管理の人員が必要になるとして、山内さんが加わった。山内さんは、EY新日本の事務職からキャリアチェンジしてきた。山内さんは「転職者が多い部署だけに、実にバラエティーに富んだ人材が集まっています」と笑顔を見せるが、事務職からの転身に抵抗感や苦労はなかったのだろうか。
「キャリアチェンジのための勉強や資格取得は大変でした。しかし、現在のAutomationチームは私の経験を生かせます。『監査の変革』という目標に向かって、さまざまなバックグラウンドを持つ人がチャレンジできる環境が整っていると感じます」
監査法人という専門性が高い組織で、テクノロジー人材や転職者が働くのは大変ではないのか。
「会計の専門家ではないという理由から、公認会計士に対して遠慮がちになることはあります。しかし、会計の高度な知識がないのは当然です。社風としてフランクなコミュニケーションが定着しているので、分からないことがあれば遠慮なく聞いてほしいと思っています。そうすることで、テクノロジー人材の成長につながりますし、仕事が面白くなるはずです」(田口さん)
「『こんなことを相談して怒られないか』という心配は不要で、田口さんをはじめパートナーの方が『時間をかけて悩むより、早めに相談してほしい』という姿勢なので、定例会や日常業務の中で安心して気兼ねなく相談できます」(山内さん)
公認会計士と協働しながら活躍しているテクノロジー人材たちは、普段どのように働いているのだろうか。
「テクノロジー人材の多くはテレワークが基本です。多くのIT企業と同様にチャットツールやWeb会議ツールを使ってオンラインで連携しています。チーム単位の定例ミーティングが週1回ありますが、リモートで参加するか出社するか自由に選べるので助かります」(道面さん)
「チームメンバーはもちろん、あらゆる階層や部門のメンバーと会話します。EY新日本はフラットな関係が保たれているので、上席の人に対して必要以上に気を使ったり萎縮したりしてしまうような“空気”はありません。もしかしたら、他の企業よりも『穏やか雰囲気』に満ちていて、程よくリラックスしているからかもしれません」(田口さん)
「『怒られてしまうかも』『恥ずかしい』という不安はありませんし、砕けたチャットやスタンプのやりとりも普通にあります」(道面さん)
「個々の時間を大切にする文化があるので、家事、子育て、趣味などを犠牲にするようなことはありません。その一方で、部活動などはしっかり楽しむのがEY新日本です」(山内さん)
なるほど、冒頭で感じたインタビュイーたちの柔らかな空気感というのは、普段のコミュニケーションの在り方がにじみ出ているのかもしれない。穏やかな職場だからこそ、質問や報告、連絡、相談といったやりとりがためらうことなく飛び交い、あらゆる物事がスピーディーに進むのだろう。
EY新日本は、自分の生活リズムに合わせて働ける「シフト勤務」制度や、プライベートの急用で業務を離れることのできる「中抜け」制度も整備している。テレワークが定着しているので、地方採用や地方での勤務も可能。働きやすい職場環境を全力で整えているのだ。
EY新日本で働くことの魅力について、開発したツールやITシステムの利用者が社内にいるのでフィードバックを得やすいことを道面さんは挙げる。反応や要望が直接届くので達成感があるそうだ。意見を基にチームや分科会でディスカッションしてアグレッシブに改善していくので、スピーディーに物事が進む点もEY新日本の面白さだろう。
転職組が孤立しないこともEY新日本の良さだ。そもそも転職組が多いのでなじみやすい上に、誰もがさまざまなバックグラウンドを持っているので互いに尊重するマインドがあるという。少人数のチームで活動することで距離を縮める「カウンセリングファミリー制度」では、勉強会や食事会、美術館の見学など幅広い活動があると田口さんは紹介する。
学習意欲があるメンバーを最大限にバックアップする社風もEY新日本の特徴だ。公認会計士の多くは勉強をして資格を取得している。そうした背景から、学習をサポートする体制が整っているので「監査の知識がなくても全く心配いりません」と森下さんは自信を見せる。
「資格の取得を支援してもらえる他、オンライン学習サービス『Udemy』の過半数のコースを無料で受講できます。自分のスキルをさらに磨きたい人にとっては最高の環境ではないでしょうか」(山内さん)
田口さんは「公認会計士の業務をテクノロジーの力で効率化して、付加価値が高い業務に時間を割けるようにすることが私たちのミッションです」とした上で、会社やビジネスの変革に携わりたい、仲間と一緒にチームで頑張りたいという人は活躍できるはずだと背中を押す。
自身の経験を生かしたい、テクノロジーのスキルを伸ばしたいと考えている人は、EY新日本で働くという選択肢を検討してみてはいかがだろうか。EY新日本に飛び込むことで、新しい地平が開けるかもしれない。
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