監査法人なのに「スタートアップみたい」 テクノロジー人材の活躍を導く“組織と制度”とは? イノベーションの中核メンバーに聞くテクノロジーが変える“監査”の未来

» 2023年06月08日 10時00分 公開
[PR/ITmedia]
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 監査法人だけどスタートアップ精神で――こんなコメントが飛び出したのは、ある監査法人の取材中だった。世の中がDX推進に注力する現在、IT企業以外もテクノロジー人材の採用や活躍を強化して、持ち前のスキルを発揮してもらおうと取り組むケースが増えている。

 その潮流は「監査法人」にも訪れている。公認会計士が中心というイメージが強いが、膨大なデータの活用や業務の生産性の向上を進めるうえでテクノロジー人材は欠かせない。特にEY新日本有限責任監査法人(以下、EY新日本)ではテクノロジー人材を集めた部署があり、監査業務の大改革を進めている。さらなる進化のため、新メンバーも積極的に募集中だ。

 EY新日本でのテクノロジー人材の活躍は、過去にも記事で紹介してきた。改めて紹介すると、同法人は世界150カ国以上で監査やコンサルティングを手掛ける英Ernst&Young(EY)の日本におけるメンバーファーム(業務提携している監査法人)だ。“世界4大監査法人(Big4)”の1つとされ、EY新日本が抱える顧客は4000社超の規模を誇る。

意外と知らない「監査法人」の世界 実はテクノロジー活用の最前線!? EY新日本のオフィスに潜入

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 あまり知られていない監査法人の“内側”をレポート。テクノロジー人材と公認会計士たちはどうコラボレーションしているのか、イノベーションを生み出す現場はどこか。EY新日本の挑戦をオフィスから探った。

監査法人のテクノロジー人材“図鑑” EY新日本で活躍する3人に迫る

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 監査法人が進めるDXの立役者がテクノロジー人材だ。しかしその仕事内容をイメージするのは難しい。そこで、EY新日本で働くエンジニアやアナリストを取材。テクノロジー人材の実像に迫った。


 そんな大規模な組織でDXを進めるポイントが、公認会計士を含む全メンバーを“デジタル人材”にすることだ。ITの知識や視点を身に付けることで、法人内の共通言語が“デジタル”になり、エンジニアなどテクノロジー人材と一緒に監査業務のイノベーションを円滑に進める狙いがある。

 EY新日本はDXにどう取り組んでいるのか、テクノロジー人材が活躍する土壌をどう作っているのか。同法人のキーパーソンを取材した。

“監査・保証業務のイノベーション”を目指すEY新日本 主役はテクノロジー人材

 EY新日本ではイノベーション方針「Assurance 4.0」に取り組んでいる。紙の書類を使った業務を転換し、AIやRPAなどを生かした自動処理や全量データを活用した監査のリアルタイム化などを目指す。その専門部署としてアシュアランスイノベーション本部を設立した。テクノロジー人材や公認会計士ら約800人が改革を加速している最中だ。

 同本部の立ち上げに携わり、現在は監査へのIT活用とそれを通じた顧客体験/EYメンバーの体験を変革する戦略を練っているのがEY新日本の井上さん(イノベーション戦略部 ストラテジープランニングリーダー)だ。井上さんはさらに共創施設「wavespace」で顧客に対してデジタル監査と顧客のDXとの共創をテーマにしたイノベーションセッションを開いている他、EYがグローバルで進める10億米ドル規模の次世代の監査・保証プラットフォーム構築プロジェクト(詳細はこちら)に参画している。

 そしてアシュアランスイノベーション本部のオートメーションチームでテクノロジー人材を率いるリーダーが、同法人の森下さん(CoE推進部 テクノロジーリーダー)だ。各プロジェクトのチームを横断でまとめる役割を担うと同時に、新システムのアーキテクチャを定義するなど実際に手を動かす機会も多い。

photo EY新日本の森下さん(左)、井上さん(右)

「スタートアップみたい」 EY新日本のイノベーション組織とは?

 「EY新日本では監査の在り方をみんなで変えていこうとしています。特にアシュアランスイノベーション本部はスタートアップみたいな感覚で、これまで存在していないものを作ろうとスピード感を持って働いています」(井上さん)

 アシュアランスイノベーション本部はEY新日本の理事長が本部長となって指揮しており、スタートアップの精神で号令を掛けたという。取り組みの大半はイチから始めたもので、道を切り開きながら進んでいる。仲間や制度、環境がそろいつつあり、次のステージに向けてギアを上げるタイミングだと井上さんは話す。

 「他社の経験と比べても、独特な部署という感想です。ユーザー部門からの要求を受けて開発を行うシステム部門ではありません。かといって、外部の顧客から直接開発を受注するような組織でもないです。伝統的な組織とは違う――ユーザーにあたる公認会計士と、設計・実装を担うエンジニアが同じチームに所属しているため、組織の壁がなく意思決定が早い。イノベーションを生む土台になっていると思います」(森下さん)

EY新日本が目指す未来の監査・保証サービスの概要はこちらをチェック

法人内の共通言語は“デジタル” 公認会計士と歩み寄ってDX推進

 革新的なアシュアランスイノベーション本部だが、その組織が1つあるだけではDX達成には足りない。そこでEY新日本では「デジタル」を法人全体の共通言語にして、テクノロジー人材と公認会計士がお互いに歩み寄りながら改革を進めている。

 AIや自動化ツールを使う公認会計士といったユーザー側のITリテラシーを、研修などで高めてデジタル人材にすることで改革を効果的に進められる。監査プラットフォームを通じて提供する「体験」をどう改善すればよいのか、ツールに使っている技術やデータは何か、UI(ユーザーインタフェース)のどこに困っているかを同じ目線で話すことで、お互いに理解を深められると井上さんは語る。

 「EY新日本の公認会計士はデジタルの素養があるので、近い距離感で会話できて仕事がスムーズに進みやすいです。それに監査業務は論理的な思考を求められるためか、公認会計士とエンジニアの相性は良いと思います」(森下さん)

顧客へのIT解説も テクノロジー人材が大活躍

 EY新日本ではシステム実装やAI活用に取り組むエンジニアやデータサイエンティスト、UI・UXなどを手掛けるデザイナーといったテクノロジー人材が公認会計士らと連携することで、業務課題の解決に直結するプロジェクトが進んでいくのだ。

 「私はソリューションアーキテクトして、システム構築に必要なアーキテクチャを設計しています。同時に、テクノロジーリーダーとしてチームメンバーの管理を担っています。みなさん楽しそうに業務に取り組んでいるのでうれしいですね」(森下さん)

photo テクノロジー人材の活躍ぶりについて話す森下さん

 テクノロジー人材は法人外部の顧客と向き合う機会もある。顧客企業の経営層や監査役、財務・経理部門の担当者を招いて、DXへの取り組みやEY新日本のIT活用について説明する顧客向けイノベーションセッションでは、現場で働くテクノロジー人材が同席して解説することが多々あるという。

 監査報告書だけではIT活用とそれによって顧客にもたらされる効果や価値の実態が伝わりづらい。そこで全量データ分析で何が見つけられるのか、またツールなどの解説やデモンストレーションをすることによって「監査の裏でこんなにすごいことが!」とテクノロジーの価値を知ってもらう他、EY新日本の監査品質に納得いただけたり、「こういうこともできないか」と要望をもらったりすることがあると、イノベーションセッションを主導する井上さんは話す。

EY共通の評価制度 持ち前のスキルを発揮できるように

 組織内の環境を整えることで、テクノロジー人材の活躍を後押ししているEY新日本。評価システムにも配慮することで、テクノロジー人材と公認会計士がどちらも自身のスキルを発揮できるようにしている。

 まず評価制度だが、2軸ある。1つはEYのグローバル規模で共通のフレームワークを使っており、全世界で30万人以上いるEYのメンバーを同じ基準で評価している。判断基準は職階ごとに期待される行動の達成度や業務上の成果、組織への貢献などだ。もう1つはテクノロジー人材により焦点を当てた評価軸だ。職種ごとの専門性の発揮とプロジェクトの達成ができたかを客観的に評価して伝えることで、本人も納得して次に進めると井上さんは説明する。

photo EY新日本の制度について説明する井上さん

 次に、キャリアフレームワークもEY共通だ。サイバーセキュリティやプロダクトマネジメントなどテクノロジーを8つの専門分野に分類し(下図参照)、各分野に属する職種ごとに定めた役割や専門性、ランク別に必要なスキルと習熟度を定義する。管理職として組織のマネジメントも担うか、専門職としてスキルを高めるかなど複数のキャリアパスも用意。テクノロジー人材の役割を明確にするとともに、スキル向上とキャリア開発を支援することで、本人が次のステップを明確に見定められる。本人のキャリア志向やスキル練度に応じて個別に目標を設定し、それに準じて評価するため大きなギャップが生まれづらいと井上さんは説明する。

 そしてEY新日本では独自の報酬制度を採用している。市場価値に対して採用競争力のある報酬水準を実現し、多様なバックグラウンドを持つテクノロジー人材を柔軟に処遇している。公認会計士とは異なる報酬制度として導入したのは、監査法人の中で新しい取り組みだという。

photo テクノロジーキャリアフレームワークの8つの専門分野

「EY Badges」「Udemy」などでスキルを学習 MBAも取得可能

 テクノロジー人材の学習を支える制度も充実している。「カウンセリングファミリー制度」では、部門横断のグループを作って人事面や仕事面のケアをしている。森下さんがリーダーを務めるファミリーでは、毎月開催する勉強会でクラウド技術やソフトウェア品質の向上に関する知識などを学び、スキルアップを目指している。

 「EY Badges」と呼ばれるグローバル共通の社内資格認定制度も魅力だ。Technology、Business、Leadershipの3領域における知識やスキル習得に焦点を当て、Learning、Experience要件の達成に応じてDigital Badgeがランク別に付与される。EYメンバー全員が一律に学びの機会を得られ、グローバルレベルの学習コンテンツを無料で受講できる。

 オンライン講座「Udemy」など外部の学習コンテンツも用意しており、無料で受講できる。さらにオンラインでHult International Business Schoolが認証する学位の取得が可能なプログラム「EY Tech MBA」「EY Masters」も用意している。MBAを取得できる企業も多いが、それを無償で提供しているのがEYだ。

 EYはグローバルに展開しているため英語を学ぶ環境も完備している。語学スクールの補助制度の他、海外駐在ができる交換プログラムや顧客との付き合いで英語に慣れる機会も多く、英語力を磨く仕組みもバッチリだという。

「イノベーションは魔法ではない」 好奇心と粘り強さを大切に

 テクノロジー人材の価値を認め、その活躍を後押しすることで監査法人のDXを進めているEY新日本。そこに集うのはイノベーションに通じる実験力が高い人、先が見えなくても「ちょっとやってみよう」と考えられる性格の人だと井上さんは話す。

 「イノベーションは魔法のように起きるものではありません。好奇心と粘り強さが必要でしょう。失敗を恐れずコツコツとチャレンジをする人が多くいます」(井上さん)

 EY新日本ではまだまだテクノロジー人材を採用中だ。最後に、どんな人に向いているか2人に尋ねると、勉強熱心な人やスキルアップを目指す人には快適だと口をそろえた。目の前にある“データの山”は好奇心を刺激し、その好奇心に応えられる環境や制度が整っている。自身のスキルを生かしたい、伸ばしたいと考えている人は入社を考えてはいかがだろうか。募集中の職種一覧(こちら)にあなた向きの職務があるかもしれない。「まずはEY新日本について知りたい」という入り口からでも大歓迎だ。

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提供:EY新日本有限責任監査法人
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2023年6月23日