企業による画像生成AIの活用やその模索が着々と進んでいる。広告に取り入れる例や、写真の加工に活用する例はもはや珍しくない。昨今ではアパレル事業者などを筆頭に、手元にない服の画像とユーザーの写真をAIで組み合わせ、疑似的な“試着”を可能にする試みも多い。
カインズもその1社だ。ただし、試着できるのは服ではなくインテリア。同社は画像生成AIを活用し、部屋のインテリアを疑似的に置き換えられる店頭サイネージ「CAINZ Fitting Room」を開発。その効果や利便性を検証している。
AWSジャパンが6月25日から26日にかけて開催した「AWS Summit Japan 2026」(幕張メッセ)のブースでもその概要を展示していた。すでに一部店舗で試験的に展開しているという同施策。その仕組みや現状を同社の担当者に聞いた。
CAINZ Fitting Roomでは、サイネージ上の部屋の写真にある家具やラグ、カーテンを他のカインズ製品に置き換えられる。ユーザーは、サイネージ上の部屋の写真を見つつ、取り入れたい家具やカーテン、ラグなどを選択。するとすでに映っている家具やカーテン、ラグなどが選択したものに置き換わるので、実際に部屋に置いた風景をイメージしやすくなる、といった具合だ。
置き換え先の画像はどれも画像生成AIで作成したもの。「生成画像と本来の製品の見た目が違う」といったトラブルを抑えるため、リアルタイム生成ではなく、事前に作成したものをユーザーの操作に応じて差し替える方式を採っている。
さらに置き換え先の家具画像は、管理画面で一つ一つ目視で確認しながら生成している。部屋画像のうち入れ替えたい範囲を指定し、家具などの見た目をプロンプトで指定して生成する。サイズ差など実際の製品との違いを修正・調整する作業も、現時点では手動だ。
提供にあたっては、米AWSの生成AI活用基盤「Amazon Bedrock」を採用。同サービスを通してAmazon製の画像生成AIモデル「Nova Canvas」を使っている。
運用開始は4月ごろで、導入店舗は埼玉県の吉川美南店など3店舗。店頭での訴求力向上や撮影の省力化を狙う施策だが、売上や客単価への影響はまだ検証段階にあり、まだ具体的な効果は見えないという。
とはいえ、モデルルームなどに比べると撮影の負荷は少ない──と思いきや、現段階では生成物の目視確認や修正の負荷がまだ大きく「早く量産できるようにしたい」という。一方、新たに「Pruna」という画像モデルの検証も始めており、Nova Canvasより精度が良いため、改善を期待している。
サイネージでは現在、カインズが用意したデモ用の部屋画像を使っているが、今後は「お客様が実際に欲しいのは、自分の部屋にあるところを見ること」とカインズ担当者。精度や作業負荷など課題はあるとしつつ、ゆくゆくは顧客自身の部屋に合わせた生成を目指したいという。
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