“テレビ的でない”動画ビジネスを携帯で ドコモとエイベックス、月額315円で見放題「BeeTV」
人気タレントが出演する約20の番組が、月額315円で見放題になるiモード専用「BeeTV」をドコモとエイベックスがスタート。コンテンツの印税は制作者に還元するなど、携帯電話発の映像配信ビジネス確立を目指す。
携帯電話向けオリジナル番組で、新たなビジネスモデルを――NTTドコモとエイベックスエンタテインメントが共同出資するエイベックス通信放送は、人気タレントが出演する番組をiモード向けに配信する「BeeTV」(ビーティービー)を5月1日に始める。
“iモード専用放送局”という位置付けで、オリジナル番組を配信。小西まなみさん主演のドラマや和田アキ子さんのトーク番組、さまぁ〜ずのお笑い番組など約20番組が、月額315円で見放題になる。
それぞれ数分〜10分程度の長さで、バストアップシーンを多用するなど携帯電話で見やすいよう編集。番組の人気度などに応じて月額利用料の一部を印税として制作者やキャストに配分するほか、テレビ放送やDVD化などコンテンツの2次利用からも収益を得る計画だ。
CM収入を原資にした民放テレビのビジネスに暗雲が立ちこめる中、携帯電話発の新たな動画ビジネスモデル構築を目指す。和田アキ子さんら出演者も、「テレビの制約を離れ、自由な番組作りをしたい」と意気込む。
人気タレント×低価格配信×制作者に利益還元
月額315円と手軽に利用できる価格帯ながら、地上波キー局制作の番組並みのキャストや制作陣をそろえた。
ドラマは、パリとスイーツをテーマにした香椎由宇さん主演の「とっても甘いの 〜C' est tre's doux〜」、キャバクラを舞台にした小西まなみさん主演の「KOI☆AGE〜恋するアゲハ〜」、40代女性と20代男性の恋を描いた市原隼人さん・飯島直子さん主演の「40女と90日間で結婚する方法」など。
和田アキ子さんがホストとなり、有名人と対談するトーク番組や、小倉智昭さんが時事問題を斬る番組、デーブ・スペクターさんと前田忠明さんが芸能界の裏話を明かす番組、さまぁ〜ずやホンジャマカのお笑い番組もある。
ドコモの動画ダウンロード配信サービス「10Mバイトiモーション」対応機種専用で、パケット定額サービスへの加入が必須。配信は一定期間後に終了するが、その後は1話50円で追加購入できる。
月額会費からの収入の一部は、制作スタッフや出演者に印税として分配。キャリア手数料を除いた総売り上げの11%を上限に、番組の視聴占有率(各番組の視聴回数/全番組の視聴回数)に応じて分配する。
番組の版権はエイベックス通信放送が保有し、テレビ放送やPC向けネット配信、DVD化、書籍化、ゲーム化など、マルチメディアに展開する計画。マルチメディア展開からの収益も、売り上げの11%を上限に印税として分配し、新たな番組制作の原資にしてもらう。
きっかけは「蒼き狼の大失敗」
新会社は4月10日設立で、資本金と資本準備金の合計は70億円。エイベックス・エンタテインメントが70%を、残りをドコモが出資している。会長はエイベックスの松浦勝人社長、社長は同社の千葉龍平副社長が務める。
「20年間の間に音楽はパーソナル化した。映像の世界にもパーソナル化は必ず来る。誰もが100%満足できる映像コンテンツを作りたい」――4月1日に開かれた発表会見で、松浦会長はこう意気込みを語った。
サービスを考えたのは2年ほど前、映画「蒼き狼 地果て海尽きるまで」で「大失敗した」ことがきっかけだったという。「映像をどうやっていこうか考えていた時、身近にあるものは携帯電話だ、と千葉がアイデアを出した」と振り返る。
会見には、和田アキ子さんや小西まなみさん、市原隼人さん、香椎由宇さんなど出演者が勢ぞろい。和田さんは「テレビは公共の電波ということもあり、規制が多すぎて上っ面しか話せない。携帯番組は本音で話し、テレビの限界を超えたい」などと意気込んでいた。
初年度77万会員獲得を目指す。2012年3月期末には346万会員を獲得し、同期に黒字化する計画だ。
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