ソフトバンク、「14年度に純有利子負債ゼロ」宣言
「借金返済が着実に進んでいくめどが立ったと宣言する決算になった」──ソフトバンクの今期は営業利益、フリーキャッシュフローとも2けた増を見込み、約1.9兆円を抱える純有利子負債を2014年度に完済する方針を明らかに。
「借金返済が着実に進んでいくめどが立ったと宣言する決算になった」──ソフトバンクが4月30日発表した2008年度(2009年3月期)の連結決算は、営業利益が前期比10.7%増の3591億円となり、4期連続で過去最高を更新した。09年度は営業益、フリーキャッシュフロー(FCF)とも2けた増を予想。FCFは今後拡大し、現在約1.9兆円の純有利子負債を、14年度にゼロを目指すとしている。
08年度の売上高は3.7%減の2兆6730億円。主力の携帯電話事業が4%減の1兆5547億円だった。端末販売数が14.8%減の842万台に落ち込んだが、通信料売り上げが1.4%増の1兆312億円となり、増収を達成した。
孫社長は「ハードは売れば売るほど逆ざや。割賦販売は1人当たりの端末保有期間を長くするもので、販売台数減は狙ったものだが、通信料は増収にこぎつけた」と話し、08年度に4070円だったARPU(割賦請求分などを含めた1人当たり月額支払い額は1〜3月期で5760円)も「底打ちし、反転する」とみている。
経常利益は12.7%減の2256億円。中国Alibaba.comの上場益を計上した前年度から反動減となった。純利益は60.3%減の431億円。ソフトバンクモバイルの債務担保証券(CDO)に絡んだ750億円の損失計上などが響いた。
「FCF経営」で借金完済目指す
FCF(営業CF+投資CF)は前年度に1642億円のマイナスだったが、1815億円のプラスへと大幅に改善。営業益とともに4月10日発表の上方修正時からさらに上ぶれして着地した。
09年度は営業益が17%増の4200億円、FCFが38%増の2500億円と予想。「キャッシュフロー経営」を掲げ、11年度までの3年間で合計1兆円前後のFCFを稼ぎ出すのが目標だ。「無理して一時的にかさ上げしたものではなく、FCFを稼げる構造ができたということだ」(孫社長)
同社の純有利子負債は08年度で1.9兆円(リース債務除く)。巨額の借金が同社の経営を圧迫しているのではとの不安があったが、FCFを安定的に拡大して返済にあて、11年度に純有利子負債の半減、14年度に完済を目指す。孫社長は「ソフトバンクといえば経営が荒っぽい、借金のカタという残存イメージがあるだろうが5年後にはこうしたイメージがなくなるだろう」と話し、「この目標値を軽くとらえてはいない。全力で達成に取り組んでいく」と宣言した。
純有利子負債をゼロにするまでは大規模投資は実行しない方針。設備投資は08年度に2590億円だったが、09年度は2200億円に抑える計画だ。基地局増設に必要な鉄塔確保など、コストがかさむ部分はほぼ一服し、「ピークは越えた」という認識。LTE投資は1000億円超を見込むが、「数年で分散するので、1年ごとの影響はそう大きくない。今と変わらない設備投資額の水準で推移できるのでは」という見通しを示した。
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