「携帯は危ないから使わせない、では解決しない」 KDDI小野寺社長、「使った上で学んで」
子どもに携帯電話を持たせるべきではないという議論もあるが、KDDIの小野寺社長は「携帯を積極的に使った上で、何が問題か勉強していただくことがより重要」と話す。
「危ないから使わせない、では何も解決できない」――KDDI(au)の小野寺正社長は6月24日に開いた会見で、青少年が携帯電話を利用する際の安全・安心についての取り組みを紹介し、こう述べた。一方でSNSについては「やっかい」とも話し、公式SNS「au one GREE」の安全対策に取り組んでいると話した。
携帯電話の出会い系サイトなど通じ、子どもが犯罪など問題に巻き込まれることを防ぐため、同社はこれまで、未成年が契約する携帯に、原則、フィルタリングサービスを導入してきたほか、GPSと通話だけに機能を制限した端末を発売するといった取り組みを行ってきた。
小野寺社長は、安全・安心に対する取り組みは今後も進めていくとアピールしながらも、「子どもに携帯を持たせるべきではない」という論調には批判的。「危ないから使わせない、では何も解決しない。リテラシーという観点からも、携帯を積極的に使った上で、何が問題か勉強していただくことがより重要」と述べた。
同社はNPOと協力して来年から、携帯電話を活用した防災・防犯に関する教育プログラムを学校向けに提供する予定。学校に携帯電話を貸し出し、学習用コンテンツと指導案も提供し、地震が起きた時や犯罪に巻き込まれそうになった時の対応を、実際に携帯を使いながら教えていくという。
auは公式SNS「au one GREE」も提供しているが、SNSでの交流をきっかけにした犯罪も報じられている。「SNSはやっかいで、心配しており、対策はいろいろ検討している。新しいサービスには必ず“裏”があり、悪意を持った人がいれば、色々なことができるのは事実で、悪さをする人との追いかけっこにならざるを得ない。早めの対応を取るとしか言えない」と述べた。
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