「みんなが宇宙に行ってほしい」 山崎飛行士らがミッション報告会
スペースシャトル「ディスカバリー」に搭乗し、ISSに滞在した「STS-131」クルーの一般向け報告会が都内で開かれ、山崎直子飛行士などがミッションを振り返った。
4月にスペースシャトル「ディスカバリー」に搭乗し、国際宇宙ステーション(ISS)に物資や実験試料の補給などを行った「STS-131」ミッションクルーの一般向け報告会が6月30日、都内で開かれた。約1000人の来場者を前に、山崎直子飛行士などがミッションの感想などを語った。
報告会では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の立川敬二理事長のあいさつに続き、クルーによるミッションビデオの紹介、来場者との質疑応答、山崎飛行士が一般から募った「宇宙俳句」優秀作の表彰、クルーによるトークセッションが行われた。
クルーのコメントには興味をそそるものが多くあった。例えば「宇宙でみんなが仲良くするには?」との問いには「人の食べ物を盗んだりしないこと」「自分のやり方に固執しないこと」とのこと。
また、宇宙の闇が吸い込まれそうなほど深く黒いこと(日本人初の宇宙飛行士である秋山豊寛さんも同様のことを述べていた)、映像や写真で多々紹介されているものよりもはるかに実際の地球が美しいこと、大気の層がごく薄いこと、夜間に大阪〜東京間が明るく光り輝いていることなどが印象に残ったそうである。
複数回飛行を経験しているクルーのコメントはテクニカルな方向に寄りがちだったが、山崎さんら初飛行のクルーの感想は、やはり宇宙体験の大きな感動を語るものが多かった。
まさに現在、米国の宇宙開発も日本の宇宙開発も、今後の方向性を決めていく大きな岐路に立っている。また、ISSに対しては批判もあり、議論百出である。そうした今後にも話は及んだが、ステーションへ実際に飛んだクルーたちは「国際的な協力のもとで巨大な構築物を宇宙で建造し、着実に運用するという人間の能力はすごいものだと肌で感じる。これからの科学技術の姿を指し示しているし、その能力を高めていくことで活動の領域が広がっていく。このようなステーションを作ることそのものが人類にとって重要な実験だ」と述べていた。
国際協力や技術開発の現場は夢や理想を語るだけで進むほど容易なものではない、というのは事実だが、それを踏まえつつ宇宙実体験から述べられたコメントは感慨深い。
山崎さんは「宇宙飛行士という言葉がなくなるくらい多くの人に宇宙に行ってほしい。文系の人たちも先生もコックさんも、職業・性別に関わらずどんな人でも行って体験してほしい。そのような未来は来ると思う」と話していた。ぜひ、そのような「誰でも関われる」方向にこれからの宇宙開発が進んでほしい。
シャトルはあと2回の飛行で退役するため、山崎さんは、シャトルに搭乗した最後の日本人宇宙飛行士となった。
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