毎日2万曲が「勝手に」生まれる――“ユーザーが自由すぎる”音楽コラボアプリ「nana」の狙い(1/3 ページ)
スマートフォンの内蔵マイクで歌や演奏を録音し、他ユーザーの録音と重ねて“合奏”する――そんな音楽コラボレーションアプリ「nana」(iOS/Android向け)が人気だ。2012年8月に公開し、15年3月には80万ダウンロードを突破。投稿された作品数は570万曲を超え、総再生数は1億7000万回以上。今では1日当たり約2万もの作品がnana上で生まれているという。
「初投稿です。恥ずかしいけど聴いてください」「素敵なギターとコラボさせていただきました」――。nanaを立ち上げると、そんなユーザーたちの歌声や演奏を聴くことができる。ユーザーの約7割は19歳未満で、女性が約76%を占める。国外からのアクセスも多く、海外ユーザーの割合は35%ほど。日本に次いで米国、タイ、トルコからのダウンロードが多いという。
「音楽が好きなのに周りに趣味の合う人がいなくて、部屋で独りぼっちで歌っているような人は必ずたくさんいると思っていた」。こう話すのは、運営元であるnana musicの文原明臣CEO。「時間や空間を超えてみんなで音楽を楽しめる、そんな場のスタンダードにしていければ」
曲は全てスマホ内蔵マイクで“一発録り” 「DTMは難しすぎるから」
nanaの仕組みはシンプルだ。アプリ内のボタンを押せば録音がスタートし、エコーやコーラスなどのエフェクトをかけて投稿できる。「自分も幼いころから歌うのが好きだったが、“アコースティック一筋”なのでDTMソフトなどの操作画面を見ても難しすぎて……。そんな人でも気軽に自分の歌を投稿できるようにしたかった」と文原CEOは振り返る。
1つの作品として投稿できるのは90秒まで。「誰もが気軽に聴けるベストな長さは90秒くらいまでだと考えている」からだ。ユーザーから「延長してほしい」と要望を受けることも多いが、アプリの正式公開時からこの長さは変えていないという。
投稿された作品にはコメントや拍手を付けたり、気に入ったユーザーをフォローしたりして楽しめる。さらに特徴的なのが、他ユーザーの作品に重ねて録音できる「コラボレーション」機能だ。例えば、誰かが演奏したギターの伴奏に合わせて歌ったり、複数の歌い手で声を重ねて合唱したり――といったコラボ作品を簡単に作れるようになっている。
「アプリのアイデアを思いついたきっかけは、2010年に起きたハイチ沖地震へのチャリティーソングとしてYouTubeに投稿されていた『We Are The World 25 For Haiti(YouTube Edition)』を見たこと。人種も生い立ちも異なる57人ものアマチュアシンガーたちが、国境を越えて素晴らしい歌を作り上げている。当時普及しつつあったスマートフォンを使えば、それを誰でも再現できるのではと考えた」(文原CEO)
運営も予期しない使い方が続々……“自由すぎる”ユーザーたち
しかし、nanaの使われ方は運営元が予期していたような素直なコラボレーションだけにとどまらない。公式機能のシンプルさを補うように、ユーザー発の“自由すぎる動き”が次々と生まれている。
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