WWDC 2015基調講演まとめ
WWDC 2015では、新しいハードウェアこそ登場しなかったが、「OS X El Capitan」「iOS 9」「watchOS 2」、Beatsを統合する音楽サービス「Apple Music」や「Swift 2」のオープンソース化など、それなりに盛りだくさんだった。
米Appleが6月8日(現地時間)に開催した年次開発者会議WWDCの基調講演で発表された主な項目を時系列にリストアップする。各項目についての詳細記事へのリンクは順次追加していく。
うわさ通り、新ハードウェアは何も発表されなかったが、新音楽サービス「Apple Music」は100カ国以上で開始としているので、ほぼ確実に日本でも6月30日から利用できそうだ(紹介動画には日本らしきシーンも登場した)。
最初に登壇したティム・クックCEOは、OS X、iOS、watchOSを紹介すると語った(Apple Musicは「One more thing」として発表)。
OS X El Capitan
OS Xの紹介は、例年通りソフトウェアエンジニアリング担当副社長のクレイグ・フェデリギ氏。まず、現行Mac OSのヨセミテの普及率が55%で、Windows 8.1は7%だというグラフで会場を沸かせた。
次期OSの名称は、ヨセミテ渓谷に立つ巨岩「エル・キャピタン」。「Spotlight」やビルドインアプリ、ウィンドウ管理などの新機能が紹介された。
パフォーマンスについては、OpenGLをMetalに置き換えたことで50%アップしたとしている。
開発者向けβは同日リリース、一般向けβは7月、正式版は“今秋”リリース。
iOS 9
OS 9の紹介もフェデリギ氏が担当。OS 8の普及率は83%で、今度はAndroid 5は12%というグラフを披露した。
新機能としては、米Googleの「Google Now」のようにコンテキストに基いて情報を提供する「Proactive Assistant」、検索機能の強化、「Siri」の新機能などが紹介された。
Proactive Assistantの紹介では、(Google Nowのように)ユーザーデータを収集しないことを強調した。
開発者向けβは同日リリース、初の一般向けβは7月、正式版は“今秋”リリース。
アップデートできる端末は以下の通り。
- iPhone 4s
- iPhone 5
- iPhone 5C
- iPhone 5s
- iPhone 6/6Plus
- iPad 2
- iPad 第3世代
- iPad 第4世代
- iPad Air/Air 2
- iPad mini/mini 2/mini 3
- iPod touch 第5世代
詳細記事はこちら。
Apple Payの進捗(「Passbook」は「Wallet」に)
iOS 9のモバイル決済機能「Apple Pay」の説明は、ジェニファー・ベイリー氏という女性が担当した(Google I/Oのデモのダイバーシティが話題になったが、Appleも女性登壇者を増やしたようだ)。
Apple Payを使える小売店が増えたこと、米Squareが参加すること、米国だけでなく、初の海外として英国で利用できるようになることなどが発表された。英国ではロンドン交通局も採用した。
クレジットカートおよびデビットカードだけでなく、小売サービスのポイントカードも統合できるようになったこともあり、「Passbook」という名称は「Wallet」に変わる。
関連記事はこちら。
Notesの新機能
プリインストールアプリのNotesが、Evernoteや米MicrosoftのOneNoteのような手書きや写真、URLの追加機能が追加され、チェックリストを簡単に作成できるようになった。
NotesはiOS端末およびMacでiCloud経由で同期する。
マップの乗換案内(日本はまだ)
うわさ通り、バスや地下鉄などの乗換案内機能が追加される。駅構内の歩き方まで提示する。まずは欧米の主要都市をサポートする。
Nearby機能では、現在地の近くの店舗が表示され、Apple Payが使える店にはそのアイコンが付く。
新アプリ「News」
新しいプリインストールアプリ「News」の紹介も、女性(スーザン・プレスコット氏)が担当した。
NewsはFlipboardのようなパーソナルマガジンアプリ。最初に自分の興味のあるカテゴリをタップして選ぶと好みに合わせたメディアの新着記事が表示されるようになる。
横スワイプで次々に記事を表示でき、後で読みたいものはブックマークすることも可能だ。
コンテンツは画像や動画などがNews用に最適化され、オリジナル記事にはないアニメーション表示もされる。
まず米、英、オーストラリアでスタートする。参加するメディアは、メディアコングロマリットのCONDE NAST(WiredやVogueなど)、New York Times、ESPN、Guardianなど多数。
iPadの新機能
キーボード上で2本指でスワイプすることでテキストをコピーできる機能やマルチタスキング、2画面表示「Split View」、動画ウィンドウを他のアプリ作業中に小さく表示する機能などが紹介された。
これらの新機能は、Air/Air 2/mini 2/mini 3で使えるようになる。ただし、2画面表示が使えるのはAir 2のみ。
詳細記事はこちら。
Swift 2がオープンソースに
「App Thinning」など新機能が多数追加され、2015年中にLinuxにも対応する他、オープンソースになる。
詳細記事はこちら。
App Store、1000億本ダウンロード達成
App Storeからのアプリダウンロード数が1000億本を超え、開発者に支払った料金は累計300億ドルになった。登録アプリ数は約150万本。
watchOSも今秋アップデート
Apple Watchの新OS「watchOS 2」では、iPhoneを必要としないいわゆる「ネイティブアプリ」が開発できるようになる。
Apple WatchのOS「watchOS」の紹介を担当したのは、昨年同様に元Adobe Systemsのケビン・リンチ氏。
従来より柔軟なカスタマイズが可能なウォッチフェイス「Timepiece」や充電の際に横表示にする機能、「Digital Touch」で複数の色が使えるようになったこと、Siriでの道案内機能などが紹介された。
こちらも開発者向けβは同日、正式版リリースは今秋。パブリックβはない。
詳細記事はこちら。
うわさの音楽サービス「Apple Music」
Beats Music統合の新しい音楽サービスは「Apple Music」という名称になった。
6月30日に100カ国以上でスタートする。日本が含まれるかどうか具体的には示されなかったが、紹介動画に日本らしきシーンが2回(畳の部屋で腹筋するメガネの男性のシーン、デコトラで音楽を聴く男性のシーン)登場した。
秋にはAndroidアプリも登場する。
Beats Electronicsの共同創業者、ジミー・アイヴォン氏が登壇し、Apple Musicはストリーミング、ビデオ、ソーシャル機能、ダウンロードなどすべてをまとめたものだと説明した。
Apple Musicは、人間がキュレーションする音楽サービス、年中無休のラジオ「Beats 1」、ファンとアーティストを結ぶ「Connect」で構成される。
価格は月額9.99ドルで、最初の3カ月は無料。6人までの家族で利用できる月額14.99ドルのプランもある。
詳細記事はこちら。
最後はカナダのアーティスト、Weekndのライブと、ティム・クック氏の「またお会いしましょう」で締めくくられた。
関連記事
- Apple Pay、Squareのカードリーダー対応へ ポイントカードも
手軽なモバイル決済で小規模店舗に人気のSquareのカードリーダーが、今秋NFCに対応し、Apple Payをサポートする。現行Squareリーダーのユーザーは、1台無償で入手できる。 - Beats MusicはApple Musicに統合 「Beats 1」ラジオに名を残す
Appleが昨年8月に買収したBeats Electronicsの音楽ストリーミングサービス「Beats Music」は新音楽サービス「Apple Music」に統合され、Beatsのブランドは「Beats 1」として残る。 - Apple、プログラミング言語「Swift 2.0」をオープンソースに
AppleがiOS、OS X、watchOS向けアプリのための開発言語「Swift 2.0」を発表した。今秋にLinuxにも対応し、オープンソースでリリースする。 - Apple、「iOS 9」にAndroidからの簡単移行ツール「Move to iOS」
Appleが、Androidユーザー向けに、Android端末とiOS端末にインストールすると無線でAndroidの連絡先や写真、音楽などをiOS端末に転送するアプリ「Move to iOS」を発表した。iOS 9の今秋のリリースに合わせて登場する見込みだ。 - 「iOS 9」はマルチタスクを強化――iPadで“画面分割による2アプリ操作”が可能に
今秋リリース予定の「iOS 9」では、iPadの広い画面を生かしたマルチタスク機能が追加される。 - Apple Watchの機能が大きく向上する 「watchOS 2」で実現すること
Appleが発表した、Apple Watch向けOSの次期バージョン、「watchOS 2」では、現在多くのユーザーが感じている不満を解消する数々の機能強化が行われます。開発者は、Apple Watch単体で動作するアプリの開発も可能になります。 - Apple、音楽ストリーミングの新サービス「Apple Music」発表
Appleが音楽ストリーミングの新サービス「Apple Music」を発表した。日本向けサイトにも「まもなく登場」と表示。 - Apple、「iOS 9」発表
Appleがモバイル端末向けOSの新バージョン「iOS 9」を発表した。今秋に登場する予定。 - Appleの今年のWWDCは6月8日〜12日の5日間
Appleの今年のWWDCは6月8日〜12日に例年通りモスコーニセンターで開催される。チケット購入方法は昨年と同じ抽選方式で、申し込みは既に始まっており、締め切りは日本時間の4月18日午前2時までだ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.