アドビ、AIを使った「11の新技術」を発表 未来のAdobe製品に搭載される可能性も:Adobe MAX 2017(2/2 ページ)
11の新技術を、デモ動画を交えてレポートする。
データのビジュアル化を簡単にする「PROJECTLINCOLN」
LINCOLNは、データをビジュアル化してくれるツール。棒グラフを複製し、そこにデータをひもづけると、数値に合わせて自動でバーの長さを調節してくれる。データのビジュアル化は、これまで多くの時間が必要だったが、これを使えば時間を大幅に節約できる。
手書き画像から3D画像を探す「PROJECTQUICK3D」
QUICK3Dは、手書きで絵を描くとAdobe Stockからリアルタイムサーチし、類似した3Dデータを見つけ出す仕組み。学習にはディープラーニングを活用しており、開いたボトルとコルクでフタをしたボトルの判断も可能。
画像を補完したり、いらないものを適切に消去してくれる「PROJECTDEEPFILL」
DEEPFILLは、欠けてしまった画像を補完したり、画像のいらない部分を適切に消去してくれるというもの。これまでのContent-Awareを進化させたものだ。
Content-Awareでは目や眉毛の部分が理想通りに補完されなかったのに対し、DEEPFILLを使うと“正しく”補完されるというデモも実施された。また、同様の技術を用いれば、マスクをかけた洞窟の穴をハートの形にすることもできるという。
顔写真をイラストや銅像と合成する「PROJECTPUPPETRON」
PUPPETRONは、顔写真をイラストと合成してくれる技術。好きなタッチのイラストと顔写真を読み込むと、顔写真を好きなタッチのイラストで描いてくれる。通常のイラストだけでなく、人体模型のような筋肉が向き出たものや木製のお面、銅像にも適応する。
また、Webカメラで人の動きを認識してキャラクターの動きに反映する「Adobe Character Animator」と連携すれば、PUPPETRONを使って銅像になった自分の顔を動かすことも可能。
動画に移った邪魔なものをきれいに消去する「PROJECTCLOAK」
CLOAKは、動画に移った邪魔なものをきれいに消去してくれるツール。これまでの技術では辛うじて消すことはできたものの、映像を再生すると消去した箇所にノイズが残っていた。CLOAKを使えば、滑らかに消したい部分を消すことができ、まるで元から何もなかったかのような映像が作れる。
以上が2017年のSneaksで発表された11の新技術だ。これらほぼ全てに人工知能「Adobe Sensei」が使われているとのこと。
Adobe Senseiは、16年開催の「Adobe MAX」(カリフォルニア州サンディエゴ)で発表した、同社開発の人工知能(関連記事)だが、実はAdobeでは何年も前から「Adobe Magic」という言葉でこのようなAI的手法を取り入れた技術が開発されてきた。「魔法ではなく、技術者たちによる根拠がある」ことを明確にするため、「Adobe Sensei」という名の人工知能として生まれ変わったのだ。
会場では毎度のように「AIはクリエイターの仕事を奪うか」「AI技術を取り入れることで既存のAdobeユーザーが離れてしなうのではないか」といった質問が飛んだが、アドビの回答は一貫してしていた。
「AIはこれまで人間のできなかったことや、やりたかったことをやってくれる。人間がすぐにはできなかった、目に見えなかったものを、やってくれる。AIのことを人間の代わりだと思っている人がいる。でも、それは違う。“先生”は、必要なときに使い、いらないときは使わない。人間のクリエイティブとインテリエリジェンスを引き出すためのものだ」
(太田智美)
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10月31日〜11月4日に開催されるAdobe MAXに参加するため、筆者はサンディエゴに上陸。すると近くに空母博物館が。Adobe MAX会期前、時間があったので行ってきた。
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