「負け惜しみではなく、晴れやかな意思決定」――孫社長、SprintとT-Mobileの“交渉決裂”に言及
「99%の人には負け惜しみと思われるかもしれないが、晴れやかな意思決定をした」――ソフトバンクグループの孫正義社長は11月6日、傘下の米SprintとT-Mobile(独Deutsche Telekom傘下)の統合協議が破談したことを受け、決算説明会でこう話した。
SprintとT-Mobileは4日(米国時間)、経営統合の交渉を終了したと発表した。孫社長によれば、Deutsche Telekomとは統合後の経営権をめぐり意見が対立。「単独とはいかないまでも、対等なパートナーとして合併に臨んだ」(孫社長)が折り合いがつかず、「Sprintが米国市場で戦略的に重要」と判断し、孫社長から交渉終了を申し入れたという。
孫社長がにらむのは、IoT(Internet of Things)時代が本格到来する5~10年後の米国市場だ。ソフトバンクは昨年、英半導体企業Arm Holdingsを買収。Armアーキテクチャのチップは、全世界のスマートフォンの99%、車載情報機器の95%――など大きなシェアを占める。孫社長は、将来的にArmがIoTデバイス向けに約1兆個のチップを出荷し、その多くが米国に“ばらまかれる”と説明する。
「人間同士の通信では米Verizon Communicationsが圧倒的に先行し、Sprintは(契約者数で)第4位。しかし人間とモノ、モノとモノをつなぐIoTを考えると、われわれは有利な立場にいるのではないか」(孫社長)
ソフトバンクは昨年、米人工衛星ベンチャーのOneWebにも出資。地球の周囲に900基の人工衛星を浮かべて電波を飛ばし、光ファイバー並み(上り50Mbps/下り200Mbps)の通信速度で、地球上どこでもネットにつながる状態を目指している。
「(ArmとOneWebは)他社がまねしたくても“買えない”武器。Sprintを単なる携帯電話の通信会社ではなく、全く異なる次元で差別化し、新しい顧客獲得につなげることができる」と孫社長は豪語する。ソフトバンクは「ビジョン・ファンド」(10兆円ファンド)を設立し、直近半年間で20社に大型投資をしている。「(投資した)ほとんどの会社が無線通信を使う。その中核にある通信インフラは欠かせない」
孫社長は「Sprintの経営権を維持することでグループ全体の利益最大化を図れる。単なる価格交渉ではなかった」と強調。さらにSprintの株式を追加取得し、「(持ち株比率を)85%ギリギリまで買い進め、意思を明確にしたい」と語った。
ソフトバンクグループが6日発表した2017年4月~9月期の連結業績は、売上高が4兆4111億(前年同期比3.3%増)、営業利益が8748億(同35.1%増)だった。純利益は1026億(同86.6%減)。アリババ株式の売却契約に伴うデリバティブ関連損失が影響したという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
研究者グループ、中国Tencentのクラウド上の“逸脱”AIエージェント群と交信 報告書の隠しテキストで呼び込む
-
2
人気Web制作ツール「Studio」全ユーザーの情報漏えいか フォームに送信された内容、外部APIキーなども
-
3
「『楽天カード公式』から詐欺メール」報告相次ぐ ドコモメールに公式マーク付きフィッシング、一部企業の認証設定に脆弱性
-
4
Microsoft、3つの国際的な犯罪ネットサービスを解体へ 日本狙った詐欺がきっかけ
-
5
Microsoft、社内エンジニア数万人を対象に「Claude Code」「Copilot CLI」導入の影響を分析 生産性どう変わる
-
6
緊急地震速報発表→すぐ取り消し 震度7予測も、実際は震度1 アラートに困惑の声
-
7
ヤマト運輸、氏名や住所など計530万件超が漏えい 「クロネコ代金後払い」不正アクセスで
-
8
Tesla、新型「Roadster」発表 SpaceX技術で“飛べる”モデルも 日本でも予約受付中
-
9
コミックシーモア、不正アクセスの可能性でサービス停止 メンテ終了時期は未定
-
10
「セキュリティソフトも売ってるのに」ソースネクスト会員情報漏えい、パスワード含む最大2252万件 API不正利用される
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR