「1兆の回線つなぐ」――孫社長が描く“IoTの未来”
「1兆の回線がリアルタイムでつながる世界を作りたい」――ソフトバンクグループの孫正義社長は7月20日、都内で開いたイベント「SoftBank World 2017」の基調講演でそんな構想を語った。固定回線や携帯電話ネットワークが未整備の地域でも、ネットに接続できるようにし、全世界のIoT(Interner of Things)デバイスをつなぐ考え。
ソフトバンクは昨年、米人工衛星ベンチャーのOneWebに出資した。同社は、地球の周囲に900基の人工衛星を浮かべる計画を掲げている。衛星から電波を飛ばし、大規模な通信インフラが整っていなくても、端末さえあれば地球上どこでもネットにつながる状態を目指す。通信速度は光ファイバー並み(上り50Mbps/下り200Mbps)という。「地上の固定回線、携帯電話のブロードバンドだけではなく、衛星を使った通信網で地球上全てを覆う」(孫社長)
孫社長は「ありとあらゆるIoTデバイス、1兆個をつなげる」と意気込む。「私たちはこれまで、(携帯電話を通して)競合他社と“人間”の回線数を競ってきた。これだと全世界のマーケットシェアを足し合わせても、せいぜい70億回線。1兆回線をつないでしまいたい」
「デバイスがリアルタイムにつながると、そこにはデータが生まれる」と孫社長は続ける。「人工知能(AI)などを鍛えていくにはデータが必要。(これから訪れる)情報革命で最も大切な資源はデータ。データを1番たくさん得た者が勝つ」
そんな強者を目指し、ソフトバンクは昨年に英半導体企業ARM Holdingsを買収した。ARMは自らチップを製造・販売してはいないが、全世界の約300社にライセンスを販売。ARMアーキテクチャのチップは、全世界のスマートフォンの99%、車載情報機器の95%、ウェアラブル端末の90%に採用されているという。
「データが生まれるところにはチップがある。そのチップの90%がARMのチップ。IoTの全てにARMが入ってくる時代がやって来る」
「資本と技術が重なって革命が起きる」
このOneWeb、ARMを資金面でバックアップするのが、ソフトバンクグループが昨年設立を発表した「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」。同社と海外の大手投資家が出資し、その規模は1000億ドル(10兆円)という。同ファンドはOneWeb、ARMのほか、IoTデバイスのデータを分析するソフトウェアなどを手掛ける米OSIsoftなどへ投資を予定している。
孫社長は、ソフトバンクグループを産業革命期の特権階級「ジェントリ」に例える。ジェントリが自らの資本を鉄道などのインフラ開発に投資し、当時の技術進歩に貢献した――という姿を自社に重ねる。
「リスクを引き受ける資本と新しい技術が重なって、大いなる革命が起きる」
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