Facebookのプライバシー問題、カナダが提訴、アイルランドとニューヨークが調査開始
Facebookの個人情報取り扱いについて、カナダ当局が提訴し、アイルランド当局はパスワード平文保存について、ニューヨーク司法長官は連絡先データの無断収集についてそれぞれ調査を開始した。
米Facebookに対して4月25日、アイルランドの当局と米ニューヨーク州司法長官がプライバシー関連の調査を開始したとそれぞれ発表した。またカナダ当局は同日、同社を提訴した。
カナダの情報保護当局であるプライバシー委員会は、昨年のCambridge Analyticaスキャンダルをめぐって実施していた調査結果を発表し、Facebookが個人情報保護法に違反したとして、慣行是正を求めて提訴する方針を示した。Facebookから流出した8700万人のデータに、約60万人のカナダのユーザーが含まれていた。
アイルランドのデータ保護委員会は、Facebookが何億人ものユーザーのパスワードを平文で保存していたことを受け、EUのGDPR(一般データ保護規則)の関連規定に基づく義務を順守しているかどうか判断するための調査を始めたと発表した。GDPRに違反していると判断した場合は、最高で売上高の4%あるいは2000万ユーロの多い方の制裁金を科す(Facebookの場合は売上高の4%になる)。
ニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官は、Facebookが150万人分の連絡先データを無断で収集していた問題について調査していると発表した。
ジェームズ氏は発表文で、「Facebookは消費者の情報に対する敬意の欠如を何度も示しており、同時にそのデータから利益を得ている。この問題は、Facebookがわれわれの個人情報を保護する上で真剣にその役割を担っていないことを示す最新の例だ」とし、「Facebookが消費者の個人情報取り扱いについて、責任を負うべき時がきた」と語った。
Facebookが同日発表した1〜3月期の業績は、売上高は150億7700万ドル、純利益は24億2900万ドルだった。同社は個人情報の管理をめぐる米連邦取引委員会(FTC)による調査が続いていることから、支払う可能性のある制裁金の引当金として50億ドルを計上したとしている。
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