Facebook決算、予想を上回る増収だがFTC制裁に備え50億ドル計上で減益
Facebookの1〜3月期決算は、売上高は予想を上回る2桁台の増収だったが、プライバシー問題でFTCから制裁金を課せられる可能性を予想して50億ドルの引当金を計上したため、51%の減益だった。
米Facebookが4月24日(現地時間)に発表した第1四半期(1〜3月)の決算は、売上高は前年同期比26%増の150億7700万ドル、純利益は51%減の24億2900万ドル(1株当たり85セント)だった。営業利益率は前年同期比24ポイント減の22%。
売上高は主力の広告収入が牽引し、アナリスト予測(149億8000万ドル)を上回った。
一方純利益は、個人情報の管理をめぐる米連邦取引委員会(FTC)による調査が続いていることから、支払う可能性のある制裁金を引当金として計上し、大幅に減少した。この制裁金がいつ発生するかはまだ不明だが、Facebookは30億〜50億ドルになるとみている。
制裁金の引当金などを除いた非GAAPベースの1株利益は1ドル89セントで、こちらも予測の1.63ドルを上回った。
MAU(月間アクティブユーザー数)は8%増の23億8000万人。前四半期は横ばいだった北米を含むすべての地域で増加した。
DAU(日間アクティブユーザー数)は8%増の15億6000万人。こちらは北米のみ横ばいで、その他の地域で増加している。
広告による売上高は26%増の149億1200万ドルと総売上の99%を占める。モバイルの広告による売上高が広告売上高に占める割合は前年同期より2ポイント増え、93%だった。
同社は、ニュースフィード上の広告から各サービスの「ストーリーズ」の広告にシフトしているようだ。業績発表後の電話会見でマーク・ザッカーバーグCEOは、同氏が「Facebookファミリー」と定義するFacebook、Facebook Messenger、Instagram、WhatsAppのそれぞれのストーリーズのDAUが5億人以上になったと語った。シェリル・サンドバーグCOO(最高執行責任者)は、300万の広告主がFacebookファミリーのストーリーを使っていると語った。「ストーリーズの機会は拡大している。モバイル広告への移行の時と同じように、われわれは広告主がストーリーズに移行するのを助けていく」(サンドバーグ氏)
物議を醸しているプライバシー問題についてザッカーバーグ氏は、人々はFacebookのような「1民間企業が言論の自由や選挙、データプライバシーについて民主的なプロセスを経ずに多くの決定を下すことを望んでいない」と語り、「有害なコンテンツを規制するための、公的なプロセスが必要だ」と主張した。同氏は3月に同様の主張をWashington Postへの寄稿で語った。
同氏はまた、3月に発表したプライバシー重視のプラットフォームについて、向こう5年間は同社にとっての中心的なフォーカスになるとしたが、すぐには収益化に結びつかないだろうと語った。
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