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AIで抗がん剤の副作用を分析 日立とがん研有明病院が実験
日立製作所とがん研究会有明病院が、外来で薬物療法を受ける大腸がんの患者を対象に、AIを活用し、抗がん剤の副作用を分析する実験を始める。
日立製作所とがん研究会有明病院は11月19日、外来で薬物療法を受ける大腸がんの患者を対象に、AIを活用し、抗がん剤の副作用を分析する実験を始めると発表した。副作用の確認などの業務をAIで軽減することで、薬剤師や医師の負担を軽減し、より適切な治療につなげるとしている。
実験は2段階に分けて行う。期間は11月末から2022年3月末まで。第1段階は、これまで診察前に薬剤師が行っていた抗がん剤の副作用の発症確認の確認を、タブレット型ロボットで行う。患者がタブレットに入力した問診結果を院内サーバに保存。薬剤師がPCで確認し、対面の問診が必要かを判断する。
さらに問診や血液検査などの結果と合わせた患者の情報をAIで分析。副作用を発症し治療に注意が必要な患者や、抗がん剤の投与を見合わせた方が良い患者などを分類し、副作用の見逃しを防止する。
第2段階は、問診中の患者の表情などの生体情報などを含めて分析できる仕組みを構築し、検証を行うという。実験を通し、薬剤師、医師、看護師などが結果のデータを共有できる仕組みを構築する。
これまで同病院は1日当たり約1800人の患者が来院し、副作用の症状確認に多くの時間を割いていた。実験を通して患者の問診にかける時間を短縮し、業務の負担を軽減することで、患者の状態に合った治療を行い副作用の軽減にもつなげるという。今後、対象となるがんを増やしていく方針。
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