Facebook発表の暗号通貨「Libra」、プロジェクトと管理組織の名称を「Diem」に改称
Facebookが2019年6月に発表した暗号通貨「Libra」とそれを管理する組織Libra協会の名称が、「Diem」と「Diem Association」に改称された。(Facebookからの)「組織の独立性を強調する」ためとしている。
米Facebookが2019年6月に発表した暗号通貨「Libra」を管理する組織Libra協会は12月1日(現地時間)、組織名をDiem Associationに改称し、新たな幹部を採用したと発表した。libra.orgにアクセスしようとするとdiem.comにリダイレクトされる。
diemはdayのラテン語。プレスリリースには「プロジェクトの新たな日を意味する名前に移行する」とある。また、改称と主要幹部の採用を発表することで「組織の独立性を強調する」としている。“Facebookからの”独立性を強調するためとみられる。
FacebookがLibra構想を発表してから、多数の政府やIMFが懸念を表明し、Libra協会の立ち上げメンバーの多数が脱退していった。
米連邦議会は同年10月、FacebookがLibraで社会に与える影響を懸念し、Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOを公聴会に召喚した。ザッカーバーグ氏は「Libra協会は独立した組織でFacebookが管理しているわけではない」と強調したが、複数の議員が疑問を呈した。
今年の5月には、Facebookが準備中のLibra専用デジタルウォレット「Calibra」と、同名の傘下企業名を「Novi」に改称した。
米CoinDeskが指摘するように、暗号通貨を説明するホワイトペーパーも改変されており、旧版ではFacebookの名前が6回登場していたものが、新版では1回になり、「Facebookのチームは協会の立ち上げに重要な役割を果たしたが、協会内に特別な権利を持ってはいない」となっている。
米Financial Timesは11月27日、Libraの暗号通貨は来年1月にもスタートする可能性があると報じた。8月から同協会のCEOを務める元財務次官のスチュアート・リービー氏はCoinDeskに対し、新通貨の発行の前にスイス金融市場監督局(FINMA)による新事業体の認可が必要であるとし、具体的な発行時期の回答を拒否した。
Libraの暗号通貨は当初、単一通貨ステーブルコインという野心的な目標を掲げていたが、今年4月には複数の単一通貨ステーブルコインに縮小した。Financial Timesによると、来年発行される暗号通貨はさらに縮小し、米ドルと1対1で連動するものになる可能性が高いという。
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