Alphabet傘下の気球ネット企業Loon、解散
AlphabetがXプロジェクトの1つとして2013年に立ち上げ、子会社化した気球ネット企業Loonが解散する。世界のすべての人にネット環境を提供するためのプロジェクトは、「商業的実行可能性への道が予想よりはるかに長く、リスクが高いことが証明された」ため終了する。
米Alphabet傘下の通信企業Loonは1月21日(現地時間)、解散を発表した。2013年に気球によるインターネット網構築という大胆な構想の下にスタートしたプロジェクトは多数の成果を挙げたが、「商業的実行可能性への道が予想よりはるかに長く、リスクが高いことが証明された」ため終了すると、Alphabetのムーンショット部門「X」の“キャプテン”、アストロ・テラー氏が公式ブログで語った。
Loonは、特殊なアンテナを搭載した複数の気球を上空18〜27キロの成層圏に飛ばし、気球同士と地上に設置したアンテナとを接続することでインターネット網を構築するという構想。ブロードバンドへの接続が難しい地域へのネット環境提供を目指した。これまでにプエルトリコとペルーの自然災害後の現地にネット環境を提供した他、2018年には初の商業サービスをケニアで開始すると発表した。
現在上空を漂っている気球は順次回収していく。ケニアでのパイロットサービスは3月1日までに終了するが、同地の接続性改善のために1000万ドルの資金を提供する。
Loonは終了するが、Loonのために開発した高帯域幅(20Gbps+)の光通信リンクなどの幾つかの技術は、Xの別のプロジェクトで引き継いでいく。
テラー氏は「Xでは、投資の機会コストに留意しながら、今後も大きな可能性を秘めた長期的なテクノロジーの探求を続ける。Loonが終わるのは悲しいが、ムーンショットのアイデアを探し続ける」と語った。
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