Google、一部の自社アプリでは「iOS版アプリでのトラッキング許可画面は表示しない」
Appleが間もなく開始するiOSアプリでのトラッキング許可申請画面表示の義務付けに先立ち、Googleが自社アプリでは「ATTに該当する情報(IDFAなど)を使わないので、トラッキング許可画面は表示しない」と説明した。
米Googleは1月27日(現地時間)、米Appleが間もなく開始する予定のiOSアプリでのトラッキング許可画面表示義務付けへの対策について説明した。
Appleは昨年のWWDC 2020で、ユーザーのプライバシー保護の一環として、Apple製品向けのアプリ開発者に対し、アプリが他社のアプリあるいはWebサイトでユーザーをトラッキングしたり、IDFA(Appleが端末にランダムに割り当てるID)にアクセスするためにはユーザーの許可を得ることを義務付けると発表した。「iOS 14」リリースのタイミングで実施する予定だったが、「開発者に対応の時間を与えるため」機能の追加を延期している。
開発者は「AppTrackingTransparency」(ATT)フレームワークを使って、トラッキングしたり、デバイスの広告識別子にアクセスしたりする許可をユーザーにリクエストする。これにより、ユーザーの画面には右図のようなポップアップが表示される。ユーザーが「トラッキングしないようアプリに求める」をタップすると、トラッキングはできなくなり、ターゲティング広告の精度低下につながる可能性がある。
Googleは公式ブログで、まずiOSアプリ開発者に対し、この機能追加で想定される収入源を最小限にするための対策を紹介し、それに続けて「われわれはどのようにATTに準拠しているか」を説明した。
Googleは具体的にどのアプリとは明記していないが、「少数のiOSアプリ」で「ATTに該当する情報(IDFAなど)を使わなく」なり、「Appleのガイダンスに従って、これらのアプリではATTのポップアップを表示しない」という。トラッキングしないということなのかどうかは不明だ。
Googleは「われわれは、App Storeのすべてのアプリに関するAppleのガイドラインを理解し、順守するために懸命に取り組んでいる」という。
なお、同社はAppleがApp Storeにプライバシー情報セクションを開設してから一連のGoogleアプリのiOS版をアップデートしていないが、「(Googleの)iOSアプリが更新されれば、アプリページのプライバシー情報セクションが更新される」としている。
ちなみに、米FacebookのFacebookアプリのプライバシーセクションは以下の通り。いかに多くのデータが利用されているかが視覚的に分かる。
FacebookはAppleのこれらのプライバシー対策は「中小のアプリ開発者に損害を与える」として反対し、新聞広告まで出している。同日の業績発表では、2021年にはAppleのこの施策により「より重大な広告ターゲティングの逆風に直面することが予想される」と語った。
関連記事
- Facebook決算、“巣ごもり需要”で過去最高 Appleの規制による“逆風”を予測
Facebookの2020年第4四半期(2020年10〜12月)の決算は、新型コロナの“巣ごもり需要”により、売上高、純利益ともに過去最高だった。次四半期については、AppleがiOS 14で開始するデータ収集申告機能がターゲティング広告の“逆風”になるとしている。 - Facebook、「iOS 14のプライバシー変更から中小企業を守りたい」と新聞全面広告
Facebookが、米主力3紙にAppleのiOS 14でのプライバシー変更から中小企業を守るという全面広告を出した。Appleが来年予定している変更で、アプリは追跡するユーザーデータについてユーザーからの許可を義務付けられる。これは「プライバシーではなくAppleの利益のため」とFacebookは主張する。 - Apple、iOS 14のトラッキング申告機能の追加は来年に 開発者に時間を与えるため
Appleが「iOS 14」で予定しているアプリの広告用トラッキングでユーザーに許可を求める新機能は、予定より遅れ、来年初頭に追加する。開発者に対応する時間を与えるためとしている。 - Facebook、「iOS 14の新機能は多数の開発者と広告主を傷つける」
Appleが9月中にもリリースする見込みの次期モバイルOS「iOS 14」の新たなプライバシー機能についてFacebookが、同社の広告サービスに大きな影響を与え、「多数の開発者と広告主を傷つける」と主張した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.