AppleのクックCEO、「Facebookは眼中にない」 スウィッシャー氏とのインタビューで
Appleのティム・クックCEOがジャーナリストのカーラ・スウィッシャー氏のPodcast番組に出演。35分にわたってプライバシーやAR、Facebookからの抗議やEpicとの訴訟などについて語った。
米Appleのティム・クックCEOは、4月5日(現地時間)配信の米New York Timesのカーラ・スウィッシャー氏によるPodcast「Sway」にゲスト出演した。プライバシーや新製品についての約35分間のインタビューで「Facebookはライバルか?」という質問に「そうは思っていない」と答えた。
この答えは、AppleがApp Storeで間もなく義務付けようとしている「ATT」(AppTrackingTransparency)について、米Facebookが抗議キャンペーンを展開していることについてのやり取りの中での発言だ。
ATTは、アプリが他社のアプリあるいはWebサイトでユーザーをトラッキングしたり、IDFA(Appleが端末にランダムに割り当てるID)にアクセスするためにはユーザーの許可を得ることを義務付けるというもの。Facebookは、この機能が有効になればターゲティング広告による収入がメインである中小の開発者への影響が大きいとしてAppleを非難している。クック氏は今回のインタビューで「向こう数週間中にATTを実施する」と語った。
スウィッシャー氏が「FacebookがATTはApple自身の利益のためであり、AppleをFacebookの事業に対する実存的危機だと主張していることについてどう思うか?」という質問にクック氏は「ATTで実施するのは、ただユーザーに追跡を許可するかしないかを選択させることだけだ。それに反対するのは難しいと思う。あのように反対されてショックだ」と答えた。
スウィッシャー氏は「あなたが驚いたと聞いて驚いている」と語り、「FacebookはAppleを“競争相手”と呼んだが、あなたはFacebookをAppleのライバルだとは見ていないのか?」と質問すると、クック氏は「ええ、幾つかの分野では競合していると思いますが、誰が重要なライバルかと聞かれれば、Facebookはそのリストには入らない。Appleはソーシャルネットワーク事業に参入していないし」と答えた。
この他、米Epic Gamesとの訴訟について、EpicがApp Storeの規則を守りさえすればいい話であり、法廷ではApp Storeのプライバシーとセキュリティについて説明する予定で、裁判には勝つ自身があると語った。
また、うわさされているARヘッドセットについては、「パイプライン(製品製造の予定を指す)にあるかもしれないしないかもしれないことについては話せない。(中略)将来的にはさらに大きな可能性があると思う」と語り、「Appleの将来にとって非常に重要なパーツだ」と認めた。
自動運転事業については、「Appleでは自動運転について非常に多くの研究を行っているが、そのほとんどは日の目を見ることはない」とし、「それはハードウェアとしての車なのか、それともソフトウェア技術なのか?」という質問に「答えるつもりはない」が「Appleはハードウェア、ソフトウェア、サービスを統合し、それらの交点を見出すのが大好きだ。(中略)われわれはその周辺にある技術を獲得するのも大好きだ」と語った。つまり、自動運転市場に参入するならソフトウェアだけでなく、ハードウェアも含む総合的なものになるという意味だろう。
最後に、「あなたは10年後もAppleにいますか?」という質問に「あと10年はいないだろう。今は気分がいいが、いつ退任するかは見えない」と答えた。
このインタビューはApple Podcastでも再生できる。
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