プライバシー重視検索エンジンDuckDuckGo、「収益は年間1億ドル以上、1億ドル以上の調達も」
「あなたを追跡しない検索エンジン」を謳うDuckDuckGoが、検索トラフィックが過去1年で55%増加したと発表した。「データ収集とターゲティングを減らせば、フェイクニュースの急速な拡散、フィルターバブルによる政治的二極化、広告の悪用などの問題を抑制できる」と主張。
「あなたを追跡しない検索エンジン」を謳う米DuckDuckGoは6月16日(現地時間)、「duckduckgrowing」というページ名のブログで同社の急成長ぶりを紹介した。実は2014年から黒字で、現在は「年間1億ドル以上の収益を上げている」という。
過去1年間で検索トラフィックは55%増加し、米、加、豪、蘭などでモバイルの検索エンジンとして2位だった。
以下はアイルランドのアクセス解析サービス企業StatCounterによる米国のモバイル検索エンジンシェア推移。確かにDuckDuckGoが2位だが、1位Googleとの差はまだ大きい。
「ユーザーを追跡しないのではっきりとは分からないが」、市場シェアデータやダウンロード数から推定すると、DuckDuckGoのユーザー数は7000万人〜1億人と考えられるとしている。
同社は、「人はプライバシーを気にはするが、実際に対策はしない」とプライバシー懐疑論者は主張するが、米AppleがiOS 14.5でトラッキング許諾の義務付けを実施したことで、簡単で犠牲を払わずに済むなら人はプライバシー対策を行うことが証明されたと語った。4月のiOS 14.5のリリース以来、世界のユーザーの88%がアプリによる追跡をオプトアウトしている。DuckDuckGoはオンラインプライバシーを守る「簡単なボタン」さえ用意すれば人はそれを押す、としている。そして、DuckDuckGoの検索エンジンは「簡単なボタン」の1つなのだという。
同社はまた、昨年末に主要な2度目の増資を行ったことも明らかにした。VCの他、ティム・バーナーズ=リー氏やWhatsAppの共同創業者のブライアン・アクトン氏、Lotus創設者のミッチ・ケイパー氏などから1億ドル以上の出資を受けた。
5月から米国で大々的に広告を展開しており、今後欧州その他の地域でも同様の広告展開を計画しているという。
DuckDuckGoは、「データ収集とターゲティングを減らすことで、フェイクニュースの急速な拡散、フィルターバブルによる政治的二極化、広告の悪用などの問題を抑制できる」と主張した。
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