半径50kmの雨雲を30秒で立体スキャン、ウェザーニューズが新レーダー開発 ゲリラ豪雨の予測精度向上
ウェザーニューズが新型の気象レーダーを開発。千葉県内で実証実験を始めた。半径50kmの雨雲を30秒で立体スキャンでき、ゲリラ豪雨や線状降水帯の推移など予測精度向上に役立つという。2年以内に日本を含むアジア50カ国での設置を計画する。
気象予報サービスなどを提供するウェザーニューズ(千葉県千葉市)は10月14日、高頻度観測小型気象レーダー「EAGLEレーダー」の実証実験を千葉県内で始めた。半径50kmの雨雲を30秒で3次元スキャン可能としており、ゲリラ豪雨などの予測精度向上に役立つという。
EAGLEレーダーは同社と米オクラホマ大学が2014年から共同で開発。周囲360度を高速スキャンし、雨粒の大きさや雲の立体構造など、半径50km以内の積乱雲の発達状況をほぼリアルタイムで捉える。ゲリラ豪雨、線状降水帯(積乱雲群が同じ地域を通過し、長時間の大雨をもたらす現象)、大雪、突風、ヒョウなどの突発的かつ局地的な気象現象を正確に把握できるという。
同社は2009年に旧型の「WITHレーダー」を開発。全国80カ所に設置し、10年以上に渡り、ゲリラ豪雨や突風などの観測実験に使っていたという。ただし、全方位を3次元で観測するには5分ほどかかり、雲の急激な変化などを詳細に捉えられなかった。
EAGLEレーダーは2022年6月まで精度評価と感度の最終調整を実施。ウェザーニューズの予報センターで、数時間先の予報に観測データを活用する。実証実験と並行して、道路の管理事業者への除雪判断支援や迂回ルート提案など、企業向けサービスも開発予定という。
ウェザーニューズでは、2017年にカナダのNANOWAVEとレーダーの量産で連携。半導体不足による影響で当初の予定から遅れているものの、2023年までに日本を含むアジア50カ所への設置を計画している。レーダーの設置を進めるため、総務省と無線免許の新制度策定について検討も開始。実現すれば、レーダー設置を早めるとともに、企業や研究機関などへの観測データの販売も可能になるという。
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