Googleの親会社Alphabet、「X」のロボット部門を「Everyday Robots」としてスピンアウト
Alphabetはムーンショット部門「X」のロボット事業を「Everyday Robots」としてスピンアウトした。既にプロトタイプ100体以上がGoogleのキャンパスを動き回っている。人間には簡単でもロボットには難しい日常業務を機械学習でで習得中だ。
米Googleを傘下に持つAlphabetは11月19日(現地時間)、“ムーンショット”プロジェクト事業Xのロボットプロジェクトを新企業「Everyday Robots」としてスピンアウトしたと発表した。LinkedInの概要欄には「より良い毎日のためのヘルパーロボット」とある。
2016年にロボット部門の責任者に就任し、現在は「CRO」(最高ロボット責任者)という肩書のハンス・ピーター・ブロンドモ氏は公式ブログで「われわれはGoogleのチームと協力して新タイプのロボットを構築している。人間の日常生活をサポートするために、自分で学ぶロボットだ。われわれのビジョンは、コンピュータがデジタル世界に変革をもたらしたように、リアルでフィジカルな世界に変革をもたらすロボットだ」と語った。
同社のロボットのプロトタイプは既にGoogleの本社キャンパス内を動き回っており、カフェのテーブルを拭いたり、人間が分別を間違えたゴミを正しく捨て直したりしているという。「100台以上のロボットが、オフィスで多様なタスクを自律的に実行している」とブロンドモ氏。
ロボットには顔のようなカメラやセンサーのついた部分と、1本の“腕”があり、車輪付きの土台で移動する。腕の先の部分は物を掴むツールやテーブルを拭く刷毛のようなものに取り替えられるようだ。
Googleが2013年に買収し、2017年に売却したBoston Dynamicsのロボットもガラスのコップを掴んだりドアを開けたりできるが、すべてプログラミングされた動作だ。Everyday Robotsのロボットは、強化学習、共学習、デモンストレーションからの学習などの機械学習技術を組み合わせることで、日常的な業務を自ら習得していくという。
ブロンドモ氏は、「目的はクールなロボット技術の構築ではない。(中略)ロボットが、愛する人の世話をしたり、われわれがより持続可能な生活を送ったりするという世界が直面している問題の解決に役立つ可能性が非常に高いと信じている」と語る。ただし、実用化はまだかなり先で、今のところ「ロボットに新しいタスクを教え、廊下で立ち往生しないようにすることにフォーカスしている」という。
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