ニュース
インボイスで漫画家の2割が廃業も? 危機感抱くエンタメ業界 声優・アニメ・演劇団体と共同記者会見(5/5 ページ)
インボイス制度が始まると、エンタメ業界のフリーランスのうち2割が廃業するかもしれない――11月14日、インボイス制度反対を訴える記者会見を、声優・漫画・アニメ・演劇業界が連携して実施した。
演劇人も2割が「インボイスで廃業を検討」
演劇業界も実情は同じだ。俳優や劇作家、照明・美術など演劇に関わる人を対象に10〜11月に行ったアンケートでは、72%が個人事業主であり、うち7割が演劇以外の仕事(アルバイト)もしていると、インボイス制度を考える演劇人の会の丸尾聡さん(劇作家・演出家・俳優)が説明する。
「インボイス制度が導入されたら、廃業する可能性がある」と答えた人は約2割。声優やアニメ業界と同じだ。「コロナ禍で文化庁が募集した『文化芸術活動の継続支援事業』に申し込んだフリーランスは8万人。うち2割の1万6000人が廃業したら、この国の文化はどうなる? 憲法で保障される文化的な生活は守られるのか?」
コロナ禍以降、演劇界は大きな犠牲を強いられてきた。度重なる公演中止・延期……今も客足は完全には戻らず、いつ公演が中止されるか分からないストレスの中、「なぜ、今インボイスなのか?」という声は大きい。「ギャラは上がらず、物価高の中、業界を直撃するインボイスが始まろうとしている。このままだと日本の文化芸術の未来は先細る」
4団体は記者会見の後、インボイス問題を検討する超党派議員のヒアリングに参加。今後も、他の団体も巻き込みながらインボイス反対の声をあげ、議員への説明など、ロビー活動を続けていく。
関連記事
- インボイス制度に反対の個人事業主、47%に freee調べ
47%の個人事業主がインボイス制度に反対──。freeeはそんな調査結果を10月20日に公開した。賛成はわずか4.4%にとどまり、インボイス制度を受け入れ難いと個人事業主が考えている様子が浮き彫りになった。 - 私はインボイス制度に対応する必要あり? freeeが診断ツール公開
freeeは11月2日、インボイス制度に向けた事業者登録の必要性についてアドバイスする「インボイス登録診断ツール」を公開した。3つの質問に答えるだけでOK - アニメ業界で働くフリーの半数が年収300万円未満 インボイスで4人に1人が「廃業の危機」
「アニメ業界で働くフリーランスの半数が年収300万円未満」「インボイス制度が導入された場合、廃業する可能性がある人は4人に1人」――こんな調査結果が発表された。 - インボイス公表サイトの「本名バレ」対策は不十分? 国税庁の言い分は……
「本名バレ」リスクを指摘され、国税庁がインボイス事業者のリストから氏名などを削除したが、「削除された項目は簡単に復元でき、対策が不十分だ」との指摘が出ている。 - 「アニメ制作環境を悪化させる」インボイス制度にアニメーター団体も反対
日本アニメーター・演出協会もインボイス制度に反対。「アニメ制作の現場環境を悪化させる」 - 税理士団体がインボイス制度に異議 「消費税負担が生活を脅かすレベルになる」 IT職種への影響は
「インボイス制度の中止を求める税理士の会」が、「インボイス制度」により消費税負担が生活を脅かすレベルになるとして反対の立場をあらためて表明した。業務負担増、取引などへの悪影響があるとしている。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.