インボイスで漫画家の2割が廃業も? 危機感抱くエンタメ業界 声優・アニメ・演劇団体と共同記者会見(4/5 ページ)
インボイス制度が始まると、エンタメ業界のフリーランスのうち2割が廃業するかもしれない――11月14日、インボイス制度反対を訴える記者会見を、声優・漫画・アニメ・演劇業界が連携して実施した。
声優の27%が「廃業するかもしれない」
声優も、3割近くが廃業の危機を感じている。「VOICTION」共同代表で声優の岡本麻弥さんによると、全国に1万人いるという声優のほとんどが個人事業主で、96%が免税事業者。76%が年収300万円以下だと話す。
インボイスで「廃業するかもしれない」と答えた人は27%と、4人に1人以上が廃業の危機を感じている。また、全体の98%がインボイスに反対を表明している。
岡本さんは、「声優が政治の声をあげるのは嫌がられる」と思いつつも、あえて声をあげる。「インボイス制度は政治の話ではなく、来年我が身に降りかかる生活の話。このままでは業界が衰退してしまう。税の本質は格差の是正のはずなのに、税金を納めたら生活ができなくなるのはおかしい」
企業の理解も進んでいないという。「声優の8割が、インボイスについて事務所などから説明されていなかった。残りの2割は『インボイスに登録しないと今後の契約は約束できない』などと言われていた。だが実際は、『役に合わなかった』『縁がなかった』などと言われて契約を切られるだろう。そうなれば、何も分からずに業界から去るしかなくなる」
また、「消費税は、事業者が消費者から預かった預り金。免税事業者は、“益税”はネコババせずに納税せよ」といった批判を受けることもあるが、これは「誤解だ」と話す。消費税は、あくまで商品やサービスに対する対価の一部であり、預かり金ではないという判決が、1990年に東京地裁で確定しており、“益税”という言葉自体が「分断を招く」言葉になってしまっている、と述べる。
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