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米国でレイオフされるとどうなる? 生活や転職先は? 現地のITエンジニアが解説シリコンバレーから見た風景(3/3 ページ)

米国のIT企業を中心に増えているレイオフ。その対象になってしまった従業員はその後どういうフローを経る必要があるのか、日本からは見えてこない実態について、現地のITエンジニアが紹介する。

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しごと発掘ラボ
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セーフティーネットとしてのLinkedIn

 大規模レイオフにより多くの人が仕事を探し始めているうえ、採用を削減している企業も多いご時世です。シリコンバレーには多くのテック企業があるとはいえ、短期間に自分のスキルにマッチし、かつ希望する条件の仕事を見つけるのは大変なことです。LinkedInではレイオフに関連した投稿を見かけるようになりました。

 先日、元同僚が彼の友人の投稿をLinkedInのタイムラインにシェアしていました。内容をみるとAmazonのデバイス開発チームで働いていたが今回のレイオフの対象となってしまったので、募集しているポジションがあれば連絡して欲しいとのこと。これまでのQAエンジニアとしての職歴やスキルが簡潔に書かれていました。この投稿には多くのサポートのコメントがつけられ、拡散されてました。多くの人の目に触れることで早く仕事が見つかるかもしれません。

 またこの投稿には #OpenToWork というハッシュタグとともに「Open To Work」と書かれた目立つバナーもついていました。このバナーにはプロフィールの写真と希望する職種の情報が大きく入っていて、積極的に仕事を探していることが伝わってきます。調べてみると、これはLinkedInの「Open To Work」という機能で、本来はリクルーターに対して仕事を探しているのでコンタクトして欲しいとこっそりと意思表示をするものですが、公開設定に変更するとバナーを利用して他の人にも広くアピールできるようになるそうです。


Open To Workバナーのイメージ。LinkedInヘルプページの動画より

 逆に現在募集中のポジションがある人たちは、タイムラインに求人情報を積極的に共有するようになってきました。もちろん優秀な人を採用したいという意図もあると思いますが、今のタイミングではレイオフにあった人をサポートする意味合いが強いでしょう。Metaのレイオフが始まった直後にAppleの人が求人情報をタイムラインに共有しているのを何件か見かけたという話を聞きました。AppleからMetaに転職した元同僚たちに戻ってくるチャンスがあることを伝えているのかもしれません。

 またLinkedIn Newsにはレイオフされた時の心得を紹介した記事が投稿されていました。ちょうどTwitterのレイオフが発表された11月4日です。レイオフされたらまずは深呼吸をしてパニックにならないようにしましょう、というところから始まり、どういう仕事を探したいのかを明らかにした上で履歴書をちゃんと作り、それから自分のネットワークの人にコンタクトした方が効果的だ、などとても実践的な話が紹介されていて、さすがLinkedInと思いました。

「It's a Rocky Economy. Here's How to Handle a Potential Layoff」

 以前この連載でも紹介したBlindでもレイオフの対象になった人をサポートする動きが始まっています。Blindは通常会社のメールアドレスで登録し、勤務先のグループに所属して議論を行いますが、レイオフになるとこうしたグループを利用できなくなります。レイオフの対象になった人のために「#ReadyForWork」というグループを作り、90日間の特別なアクセスを提供するので、ここでキャリアに関するアドバイスやTipsなどを共有してサポートして欲しいとのことです。

 大規模なレイオフが実施されている裏で、プロフェッショナル向けSNSがセーフティーネットとなって活躍しています。

 シリコンバレーで働いているとレイオフのリスクは常にあります。大規模なレイオフのニュースをみるたびにさらに不安が煽られストレスを感じます。レイオフの対象にならない方法があればよいのですが、そのようなものはないでしょう。どんなに優秀なトップエンジニアでも組織が無くなればレイオフの対象になります。

 最近はニュースを見て先のことをあれこれと想像して不安に思うのではなく、目の前の仕事を確実にこなし日々結果を出していくことが大事だと考えるようになりました。今一緒に働いているチームのメンバーから信頼を得て、また一緒に働きたいと思われる人になっていれば、今後別々の会社で働くことになったとしても、ある日突然のレイオフの時に誰かが手を差し伸べてくれるかもしれません。これが荒波を乗り越えていく唯一の方法だと思います。

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