Google、ChatGPT競合チャットbot開発中の新興企業Anthropicを支援
GoogleはOpenAIの「ChatGPT」と競合するチャットbot「Claude」を開発する新興企業Anthropicを支援すると発表した。AnthropicはGoogle Cloudを優先クラウドプロバイダーとし、GoogleはAnthropicのAIシステム開発のためにTPUおよびGPUクラスタを構築する。
米Googleのクラウド部門Google Cloudは2月3日(現地時間)、“安全と研究に重点を置いた”新興企業Anthropicとの提携を発表した。AnthropicがGoogle Cloudを優先クラウドプロバイダーとして選択し、Google CloudはAnthropicのAIシステム開発のために次世代TPUおよびGPUのクラスタを構築する。
両社は公表していないが、米Financial Timesによると、Googleは2022年、Anthropicに3億ドル出資し、約10%の株式を取得したという。
Anthropicは2021年創業のカリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置く非公開企業。共同創業者でCEOのダリオ・アモディ氏はGoogleでディープラーニング関連の研究者を経て2016年に米OpenAI入りし、GPT-3開発担当の副社長を務めた後、Anthropicを立ち上げた。共同創業者のトム・ブラウン氏はOpenAIでGPT-3開発の中心的存在だったエンジニアだ。
AnthropicはOpenAIの「ChatGPT」と競合する独自の汎用チャットbot「Claude」を開発している。同社は発表文で「安全でコントロール可能なAIの構築に関する研究に基づいたAIアシスタントClaudeの開発と展開に重点を置いている」とし、「Google Cloudの最先端のGPUとTPUクラスタを活用してClaudeを含むAIシステムのトレーニング、スケーリング、デプロイを行う」と語った。
Claudeは一般公開はされておらず、現在クローズドβ状態だ。Anthropicからアクセス権を提供された米AI関連企業Scale AIが、ClaudeとChatGPTとの比較記事を公開している。
OpenAIのChatGPTは公開以来大きな話題を呼んでいるが、まことしやかだが不正確な回答やスパムなどへの悪用に関する懸念も高まっている。
Googleは長年AI研究と開発に注力しており、GoogleアシスタントやGoogle Lensに反映させてきた。だが、AIの倫理原則を標榜していることもあり、OpenAIのように開発途上のAIシステムを一般公開することは控えてきた。
Googleのスンダー・ピチャイCEOは2日、「AIが可能にする信じられないほどの機会を解放する」ことを計画していると語った。
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