三木谷氏もサプライズ登場の「MWC」 最大のテーマは「O-RAN」、キラーを模索中の5G:房野麻子「モバイル新時代」(4/4 ページ)
2月27日から3月2日までの4日間、スペイン・バルセロナで世界最大のモバイル展示会「MWC Barcelona 2023」が開催された。久しぶりの完全リアル開催となったMWCの見どころをお伝えする。
大きな存在感を放っていたファーウェイ
そのファーウェイだが、MWCでの存在感は未だ大きかった。1つのホールをほぼ貸し切った巨大なブースには圧倒されるほどで、基地局からデータセンター設備、パソコン、端末も取り揃えて展示していた。基地局設備の展示では省スペース性、省電力などで技術力の高さを見せていた。
ファーウェイは通話にも新しい機能を提案していた。通信キャリアのコアネットワークに、ファーウェイが提供するプラットフォームを追加することで、例えば通話音声を自動で翻訳したり、ビデオ通話時にキャラクターが表示されて通話者の動きに反応して動いたりといった機能が利用できるようになるという。
また、仮にレストランの電話なら、メニューが確認できて、テーブルの予約も可能になる。端末に専用アプリは不要で、標準の電話アプリで利用可能だ。この新しい電話機能は中国ではすでに商用展開されており、3GPP(携帯電話システムの国際標準仕様を策定する機関)で標準化の予定もあるとのことだ。標準化されれば、より多くの国で使われることになるだろう。
ただしファーウェイに対しては、米国政府が制裁を強化し全面禁輸にするという報道がある。すでに禁輸措置がとられている5Gスマホ向けの先端半導体などに加え、米国の技術や製品が全面的に輸出禁止となると、ファーウェイの通信ビジネスに対する打撃はかなり大きなものになるはずだ。来年のMWCでも変わらぬ姿を見られるか、予断を許さない。
筆者プロフィール:房野麻子
大学卒業後、新卒で某百貨店に就職。その後、出版社に転職。男性向けモノ情報誌、携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年にフリーランスライターとして独立。モバイル業界を中心に取材し、業界動向を追っている。
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