連載
GPT-4とは大きな差、それでもバイドゥの「中国版ChatGPT」が有望な理由:浦上早苗の中国式ニューエコノミー(3/6 ページ)
中国IT企業のバイドゥ16日、テキストや画像を生成するAI「文心一言」(ERNIE Bot)を発表した。米OpenAIが直前にリリースした「GPT-4」に比べて完成度が低いとされるが、既に650社が文心一言との協業を表明したという。この期待の高さはどこからくるのか。背景を紹介する。
李CEOは同社の大規模言語モデルの産業への応用として、以下の3点を挙げる。
1つ目はクラウドコンピューティングサービスの変革だ。バイドゥはスマートクラウドを通じて外部に文心一言のサービスを提供する。「演算力、ストレージなどの基礎的要素で事業者を選ぶ時代から、フレームワーク、モデルの良し悪しを重視する時代に変わる」と李CEOは述べた。
2つ目は、業界向けに最適化したモデルを提供することで、業務効率化を図る。農業、工業、金融、教育、医療、交通、エネルギーなどを重点領域に据える。
3つ目は、大規模言語モデルの「ベース」となるサービスの提供だ。大規模言語モデルを1から構築できる企業は限られており、かつ何年もかかる。バイドゥは汎用性の高いモデルをスタートアップなどに提供し、プロダクトの開発を支援する。生成コンテンツにおける“iOSやAndroidOS的な立ち位置”を目指しているようだ。
文心一言は16日以降招待制で少数ユーザー向けにテスト運用を開始し、16日は約60万人が利用申請したという。
そして20日には企業顧客向けのクラウドサービスを27日にリリースすると発表した。
関連記事
- 中国版ChatGPT、異常な盛り上がりでカオス 出オチでClubhouseの二の舞も……
米OpenAIが開発した、自然な対話や文章作成ができる対話型AI「ChatGPT」が世界に衝撃を与えている。中国でも大きな変革のうねりに乗り遅れまいとお祭り騒ぎで、カオスっぽくなっているが、中国の反応は日本のそれとはベクトルが異なる。 - GPT-4をいち早く試すなら「ChatGPT Plus」 月額2400円だが、画像入力など「お楽しみはこれから」
米OpenAIが3月14日(現地時間)に公開した、次世代大規模言語モデル「GPT-4」。これまでのGPT-3や、「ChatGPT」に搭載されたGPT-3.5よりも推論性能を向上させた他、入力された画像に対してコメントしたりなど、マルチモーダル対応を果たしている。 - 「新しいBing」のエンジン、実は「検索用にカスタマイズしたGPT-4」
Microsoftは、OpenAIによる「GPT-4」発表を受け、「新しいBing」はGPT-4を使っていると認めた。新しいBingのプレビューリリース段階から、検索用にカスタマイズしたGPT-4だった。ターン上限は15/150に増加した。 - Apple減収減益でもiPhoneシェア拡大、「全員敗者のスマートフォン市場」
22年はグローバルでのスマートフォン販売台数が、過去10年で最低水準となった。また10〜12月期は強者Appleも減収減益となったが、グローバルでのシェアを伸ばしている。なぜだろうか。背景を紹介する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.