アリババなど中国各社からChatGPT対抗AI続々 “にわか”ではない開発の背景:浦上早苗の中国式ニューエコノミー(2/5 ページ)
4月11日、中国アリババグループが自社開発の対話型AIを発表した。3月には中国バイドゥ、米Google、4月には米Amazonも参戦を表明し、中国では5月までに数社がリリース予定だ。「中国版ChatGPT」は数年前から開発されており、社会実装では中国が先行する可能性もある。
ビジネスツールとAIスピーカーから搭載
アリババグループは4月11日、対話型AI「通義千問」を発表した。英語と中国語に対応し、テキスト・音声ベースで高度な対話ができる。画像を理解したりテキストから画像を生成する機能も近く追加するという。
通義千問は近く、米MicrosoftのTeamsに似たアリババのビジネス用コラボレーションアプリ「DingTalk(釘釘)」と、AIスピーカー「天猫精霊(Tモールジーニー)」に搭載される。
Microsoftが、OpenAIの技術を活用した対話型AIをMicrosoft365に搭載すると発表したことから、Excelのデータ分析やPowerPointの資料作成などが格段に効率的に行えるようになると期待されるが、DingTalkも同様の機能を持つようになる。
AIスピーカーへの搭載について、アリババグループ会長兼CEOの張勇(ダニエル・チャン)氏は「通義千問によって天猫精霊はだいぶ賢くなり、子どもの遊び相手にとどまらない高度なやり取りができるようになる」と述べた。
対話型AIの最初の実装例として検索が注目されているが、今の社会で人間とAIの対話が最も活発に行われているのはAIスピーカーであり、発表会でも「冷蔵庫にある食材からレシピを提案」「30分の運動に合う音楽を流す」など、同製品を意識したデモが行われた。
アリババは、通義千問が最終的にEC、物流、ネットスーパー、動画サイト、地図アプリなどグループ全てのプロダクトに搭載されるとしている。また、クラウド上で通義千問へのアクセスを提供し、顧客企業がそれぞれのニーズに合った大規模言語モデルを構築できるよう支援も行うという。
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