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アリババなど中国各社からChatGPT対抗AI続々 “にわか”ではない開発の背景浦上早苗の中国式ニューエコノミー(3/5 ページ)

4月11日、中国アリババグループが自社開発の対話型AIを発表した。3月には中国バイドゥ、米Google、4月には米Amazonも参戦を表明し、中国では5月までに数社がリリース予定だ。「中国版ChatGPT」は数年前から開発されており、社会実装では中国が先行する可能性もある。

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アリババ、バイドゥは19年から開発

 実はアリババが通義千問を発表する前日の10日、中国では3社が大規模言語モデルのリリースを発表している。

 “中国AI四小龍”と呼ばれ、ソフトバンクグループが出資する商湯智能科技(センスタイム)は企業向けの大規模言語モデル「日日新SenseNova」、対話型AI「商量SenseChat」の発表イベントを開いた。オンラインゲームの崑崙万維と、検索エンジンで中国2位のSogou(捜狗)を創業した起業家の王小川氏はこの日に大規模言語モデルへの参入を正式表明した。

 セキュリティーソフトの奇虎360、音声認識に強みを持つAI開発の科大訊飛(iFLYTEK)も5月初旬にかけて、自社の大規模言語モデルの発表を予定している。


中国企業が開発する主な大規模言語モデル(各社の発表を基に筆者作成)

 ChatGPTの登場を機に中国では大規模言語モデルと生成AIのプロダクトが続々と立ち上がっているわけだが、これらの動きはChatGPTが誘発しているものの、決して“にわか”ではない。

 3月16日に「文心一言(ERNIE Bot)」を発表したバイドゥは、19年に大規模言語モデルの開発を始め、「文心(ERNIE 1.0)」を発表した。現プロダクトは3.0バージョンだ。

 アリババも19年に大規模言語モデルの開発に着手し、21年に自然言語処理モデルのPlug、マルチモーダルモデルのM6を発表。22年に「通義」に統合した。

 このほか、世界最大のゲーム会社でメッセージアプリWeChat(微信)を運営するテンセントは22年に「混元」と名付けた大規模言語モデルを、通信機器大手のHuaweiも21年に大規模言語モデル「盤古」を発表している。

 バイドゥ創業者の李彦宏CEOは中国メディアのインタビューで、「中国にOpenAIのようなスタートアップは現れるか」と聞かれ、「ないだろう」と即答した。その理由として、「OpenAIが生まれたのは、米メガテックが同技術をそれほど有望視してこなかったからだ。中国ではメガテックが大規模言語モデルの将来性を評価し投資してきたため、スタートアップがいまさら入る余地はない」と説明している。

 アリババクラウド・インテリジェンスの周靖人CTOも、「大規模言語モデルは23年に突然現れたわけではない」と以前から布石を打っていたことを強調した。

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