OpenAIのアルトマンCEO、「EU AI Act順守が困難ならEUでの事業は停止する」
欧州歴訪中のOpenAIのアルトマンCEOは、EUが準備中の「AI Act」と「順守できなければEUでの事業は停止する」と語った。「要件の一部には準拠するのが技術的に不可能かもしれない」という。
現在世界行脚中の米OpenAIのサム・アルトマンCEOは5月24日(英国時間)、EUが審査中のAI関連法案「EU AI Act」を順守できない場合、欧州での事業を停止する可能性があると語った。米TIMEなどが報じた。
これは、ロンドン大学ユニバーシティカレッジでのパネルディスカッションでの発言。アルトマン氏は、EU規制当局担当者とも会い、この法案についても話し合ったとも語った。
108ページにわたるEU AI Actには、「ハイリスク」だと判定されたAIアプリについて、トレーニングに使うデータやトレーニング方法などの開示義務を定義する条項もある。
OpenAIは3月に「GPT-4」を発表した際、開発に使ったハードウェア、トレーニング方法、データセット構築などに関する詳細を開示しないとテクニカルレポート(PDF)で説明した。
アルトマン氏は、EU AI Actの要件の一部には、準拠することが技術的に不可能ではないかと懸念しているという。
同氏はこのディスカッションの前に、米Google DeepMindのデミス・ハサビスCEO、米Anthropicのダリオ・アモディCEOとともに、リシ・スナク英首相と会談した。
この会談では、偽情報や国家安全保障などに関連するAI技術のリスクと、それを管理するために必要な行動や規制について話し合われた。スナク首相は、AIは人類を前向きに変革し、英国国民により良い結果をもたらす可能性があると語った。
アルトマン氏は22日、将来の高度なAI「superintelligence(超知能)」に対しては国際規制機関が必要だが、超知能にいたらない現在のAI関連プロジェクトを規制することは重要ではないと主張した。
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