マネフォ決算、Fintechサービスが2年で売上高3.4倍 24年11月期のEBITDA黒字化にも死角なし
マネーフォワードの業績が好調だ。売上高もSaaS ARRも期初見通しの上限レンジを超え、年間計画を上方修正した。また、次の事業の柱として期待するFintechサービスが急成長。2年で売上高3.4倍になっている。
マネーフォワードの業績が好調だ。7月18日に発表した2023年11月期第2四半期の決算では、四半期連結売上高が前年同期比43%増加し73億円となった。SaaSのARRは同42%増加し198.6億円と、公開していた見通しの上限を上振れした。
好業績を受けて、年間計画も上方修正した。連結売上高は昨年対比28〜38%増としていた期初見通しから、36〜41%増に修正し、292.1〜302.8億円とした。またSaaS ARRも同30〜40%増の期初見通しから、37〜42%増の223.3〜231.4億円と上方修正した。
翌2024年11月期にはEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)において再び黒字化を目指す計画だが、実現に向けて確度が高まった形だ。
「足元、力強く売り上げが伸びている。このペースで伸びれば、コストをしっかり掛けながらでもEBITDA黒字化はできていく。コストを絞るのではなく、しっかり伸ばして国内ナンバーワンのFintech SaaS企業になっていきたい」(辻庸介社長)
Fintechサービスが急成長 2年で売上高3.4倍に
同社が主力とする法人向け会計SaaS事業は、10月に迫るインボイス制度、24年年明けに始まる電子帳簿保存法と、制度変更への対応需要から追い風が吹いている。これが直近の急成長の理由の一つだ。
ただし制度対応が一服する24年以降も、成長スピードは減速しないと同社は見る。「インボイス制度で伸びているというのは限定的。追い風であることは間違いないが、本質的にはプロセスのデジタル化、金融サービスのデジタル化ニーズだ」と金坂直哉CFO。
企業向け会計SaaSをメインとしながらも、人事、法務、情報システムなどバックオフィスに関連する複数の分野にプロダクトを広げ、複数サービスを使ってもらうクロスセルによって顧客単価をアップさせてきた。顧客の平均サービス利用数は、半年前の2.4個から2.6個まで増加している。
クロスセル商品として急速に成長しているのが、同社が「Fintechサービス」と呼ぶ金融事業だ。法人向けプリペイドカードの「マネーフォワード ビジネスカード」は、特別な販促を行わず、既存顧客向けのクロスセルを中心に発行枚数が29万枚を突破した。ファクタリングの「マネーフォワード ケッサイ・アーリーペイメント」も累計取扱高も2000億円を超えている。
これらのFintechサービスは、直近2年で売上高が3.4倍に増加と急成長している。直近半期の売上高は11億800万円と、全社売上高の7%程度を占めるまで成長した。収益性も高い。支払利息や貸倒引当金などの変動費を差し引いた限界利益は、年換算で13.8億円に達している。Fintechサービスの運営に必要な資金(買取債権やカード事業の運営資金)66億円に対し、限界利益率は20%以上だ。
「現時点で大きな事業リスクは見当たらない」(金坂氏)というマネーフォワード。Fintechサービスが次の力強い成長ドライバーになるかが注目される。
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