今あえて「mixi」をやってみて気づいた、あのころの良さ:NEWS Weekly Top10
最近筆者は、往年のSNS「mixi」を本格的に再開している。mixiのスタートは2004年。“Web2.0”としては先進的なサービスだった。当時最先端だったサービスを20年後にやってみたら、意外な感情がわき起こってきた。
ITmedia NEWS Weekly AccessTop10
2月10日〜16日先週のアクセストップはこの連載(ITmedia NEWS Weekly AccessTop10)の記事だった。15年ほど前までNHKテレビで時報を伝えていたアナログ時計「NHK時計」のスマートフォンアプリが、若年層から「(機能が少なすぎて)ひどすぎる」と評価され、アナログテレビ時代を知る人から驚かれているという話題だ。まさにジェネレーションギャップを感じさせられた。
ジェネレーションギャップといえば、最近筆者は、往年のSNS「mixi」を本格的に再開している。現在の40代前後が、10〜20年前にドはまりしたSNSだ(筆者は45歳)。
mixiのスタートは2004年。“Web2.0”としては先進的なサービスだった。当時最先端だったサービスを20年後にやってみたら、意外な感情がわき起こってきた。
日記のタイトル付けが面倒、「足あと」は重い
現在のmixiのメイン機能は、Xのような短文の「つぶやき」だ。「日記」や「mixiニュース」「コミュニティ」なども現役で、ユーザーインタフェースは10年前とあまり変わっていない。久しぶりに使うとメニューが多すぎて、どこから投稿すればいいのか分からないし、「つぶやき」と「日記」の使い分けもよく分からなくて困惑する。
mixi草創期からのメイン機能は「日記」なので、筆者も日記を書いてみることにした。
日記は本文の前に「タイトル」が必須なのだが、XやFacebookで本文だけ書くことに慣れすぎて、タイトルを書くのがつらい。タイトルを思い付かなくなっているのだ。筆者のマイミクには、日記を書き続けている人もいるが、毎日同じタイトルにしている人が多い。
日記は投稿まで3クリック以上かかるのもきつい。「日記」を選んでクリック、書き終わってクリック、その内容を確認してまたクリック……。しかも各ステップで微妙に待ち時間があり、LINEやXのようなリアルタイム感は皆無だ。
日記に添付できる写真は3枚まで。執筆中は、「photo src=」といった画像タグが入るだけで、写真のプレビューは表示されない。さらに、写真の容量は全日記合計で200MBという、今時シビアすぎる制限まであった。
「足あと」機能にも複雑な感情を覚えた。友人のページを見に行くと、自分の「足あと」が自動でついて訪問を知らせる機能はねっとりと重い。足あとを付けてもいいねやコメントをしないと“既読スルー”っぽくて、ちょっと心がザワザワする。
何も起きない、それがいい
不満ばかり吐き出してしまったが、それでもmixiの空気感は「いいな」と思った。時間の流れがゆったりしているからだ。
mixi日記を書こうとすると、Xの投稿より時間がかかる。タイトルを考えなくてはならないし、クリックの数も多い。さらに、更新している人が少ないため、タイムラインがほぼ動かない。ゆったりとタイトルを考え、本文を書き、更新する。そして、何も起きない。そこがいい。
筆者はここ10年で、XやInstagramなど、秒単位で動き続けるタイムラインに慣れてしまった。ただ、めまぐるしく変わるタイムラインはせわしなく、自分のペースを忘れてしまう。更新を追って端末にくぎ付けになってしまうし、アルゴリズムによるおすすめから不愉快な内容や腹立たしいコンテンツに遭遇してイライラすることも多い。
その点、mixiは無風に近い。自分のペースで更新できるし、感情を不意に揺り動かされる機会が少ない。タイムラインに張り付いても何も起きないので、画面から離れて別のことをやろう、という気持ちにもなりやすい。1日待てば足あとやコメントが付くこともあり、ゆったりとつながることができる。
あのころのインターネットは、こんなにゆっくりしていたのか。今あえてmixiをやってみて、時間の流れ方の違いに驚き、せわしない日常から少し距離を置けた気がした。
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