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AI「ギュ」時代 プログラミングも文系就活も“ギュられる”って本当?

「ギュ」を気にしすぎたら、身動きが取れなくなるのではないか。

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しごと発掘ラボ

 先週のアクセス1位は、生成AIで就活を圧勝した新入社員を描く連載漫画の1回目。社内で使用禁止のAIサービスを使おうとして情シスに注意を受けていた。ヒヤヒヤする。

 就活といえば、週末には日経が「余る文系人材80万人 採用はスキル重視、データサイエンス必須に」という記事を出し、Xでは「就活がギュられた」と話題になった。

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 ってか、「ギュられる」って何? 握りつぶされるの?

由来は「シンギュラリティ」

 「ギュられる」は最近SNSで見るようになった言葉だ。調べたところ、シンギュラリティの「ギュ」に、受け身の「られる」をくっつけたネットスラングだった。

 意味は、AIに仕事などを奪われること。シンギュリティ後の世界は「ギュ後」と呼ばれ、X上では「ギュられる前に就活を終えたい」などの投稿が並ぶ。

ところで「文系余る・理系足りない」って本当?

 日経記事によると、経産省は今年1月に公表した「2040年の就業構造推計(改訂版)」で、「2040年には大卒・院卒の文系人材が約80万人余る」「大卒・院卒の理系は約120万人不足」との推計を出している。同じ文系でも「AIなどの最先端産業で活躍できる能力を習得するかがカギ」という。

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「2040年の就業構造推計(改訂版)」概要より引用
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「2040年の就業構造推計(改訂版)」概要より引用

 でもちょっと待ってほしい。10年前の2016年には、同じ経産省が「2030年にIT人材が最大79万人不足」という推計を出していた。今、AIが主に使われているのはプログラミングで、むしろ「IT人材」を置き換えており、米国からは、エンジニアの大量解雇のニュースもたびたび飛び込んでくる。

 今回の「2040年に文系余る・理系足りない」予測は、筆者にはどうにも信じられない。AIで多くの仕事が変わるのは間違いない。ただ、その圧がどこにかかるのかは、文理という雑な区分では予測できないだろう。

「ギュ」を気にしすぎたら、身動きが取れなくなる

 例えば記者は文系職だが、その仕事は意外とAIが代替し切れない。ITmedia NEWS編集部は全員がAIを使い、日々試行錯誤しているが、「AIはいまいち勘所をつかんでくれないよねえ」と、記者同士で盛り上がる。

 記者は世論の“空気”や社会のニーズに合わせ、日本語を読みやすく面白く組み立てて記事を出している。だがAIは、空気を読むのが得意ではないし、「面白い」とは何かを理解してくれない。

 AIは実際に、国語が得意ではないようだ。27日付の日経オンラインの記事「OpenAIとGoogle、東大理3『首席合格』数学は満点 得意科目に違い」によると、東大と京大の入試問題を「GPT 5.2 Thinking」に解かせたところ、数学では満点をとったが、国語は得点率5〜6割強止まりだったという。物理や化学も、日本史や世界史より得点率が高かった。

 少なくとも現時点でAIは、理数系の方が得意のようだ。それなのに「14年後に文系人材が余る」という観測は、矛盾してない? とも感じる。

 経産省の推計では、「AIやロボットの利活用を担う人材」は文系でも足りなくなるとのことだが、そのころには、あらゆる仕事にAIが自然に導入され、文系卒でも普通にAIを使いこなしてると思う。

 とはいえ、AIの進化の方向が見えにくい今、就活生の悩みは深いだろう。ただ、ギュられること“だけ”を心配して進路を決め、好きではないことを無理矢理仕事にするのはあまりおすすめできない。嫌々決めた仕事が意外と早くギュられて、やりたかった仕事の方がピンピンしている可能性もあるからだ。

 14年後に何が残っているかは分からないし、偉い人々の予想も当てにならない。それなら、自分が好きなものや得意なことを軸に選んだ方が、いざ何かあったときに踏ん張りもきく。「ギュ」に怯えるより、自分の手触りを信じて進んでほしい。

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